2021/10/07 18:00 配信
――物語の中では、ローラにとってジムが一瞬の光でしたが、岡田さんをコンプレックスから救ってくれたものがあれば教えて下さい。
僕自身、学生時代から表立って手を挙げたり、みんなの前に出るようなタイプの人間ではありませんでした。でも、この仕事をすることで少しずつ自己表現が出来るようになってきました。
今でも舞台に立つことは怖くて、出来れば立ちたくないという気持ちのほうが大きいんですが(笑)、それでも気持ちを奮い立たせてくれるものがこの仕事なので、ずっと役者という仕事に助けられているなと思います。
――舞台のどういったところが魅力だと感じているのでしょう?
120%で役を演じられる時があれば、1カ月も練習したのになんで出来ないんだろうと思う日もあって、確実に満点になることがないから続けたくなるんだと思います。それと、周りの先輩方が「舞台は続けたほうがいいよ」と言って下さるので頑張ろうと。もし誰かに「向いてないよ」って言われたら、へこんですぐに辞めると思います(笑)。
――映像と舞台の表現方法に違いはありますか。
最近、映像ではなるべく“余計なことをしない”ことを心がけているんですが、特に今回のような抑圧された感情を吐き出す舞台は、自分が抑えていたものを表現として吐き出すという意味でも全然違いますね。どちらの表現も好きなので、これからも両方を演じ分けていけたらと思います。
――演出家である上村さんとは、2019年の舞台「ブラッケン・ムーア〜荒地の亡霊〜」でご一緒されていますが、今回期待することはありますか?
上村さんの台本との向き合い方や演出方法が、すごく自分のやり方とマッチしていて、またご一緒したいと思っていたので、声をかけていただけて本当に嬉しかったです。ただ、次に選ばれた作品が、この「ガラスの動物園」というのは、なかなか試されているなと(笑)。
――というと?
出演者が4人しかいなくて濃密な会話劇を繰り広げるので、上村さんからは、トムという役を“お前はどうやって演じるんだ?”と問いかけられているような気が勝手にしています。舞台に立つ前に、上村さんの前で最初に演じるのが、ちょっとこっ恥ずかしいというか……。「ブラッケン・ムーア」も追憶劇で重なる部分があるので、その時とはまた違う姿を見せたいというプレッシャーと戦っています。
――現段階では、トムをどのように演じたいと考えられていますか。
まだ具体的には見えていないんですけど、トムを演じると自分を見失いそうな怖さがあるので、感情をコントロールして向き合いたいと思っています。前回の上村さんの舞台では、稽古が始まって1週間くらいは机に座って台本と向き合う時間があって、そこで台本には書かれてない部分や、それぞれの感じ方を話し合いました。今回も、演出家やキャストのみなさんの視点を聞きながら、理解を深めたうえで本番を迎えられればと思っています。
――では、最後に読者にメッセージをお願いします。
「ガラスの動物園」は、世界中で愛されている戯曲で普遍性のある内容なので共感していただける部分がたくさんあると思います。この4人ならでは舞台にしたいと思いますし、初めて触れる方にも分かりやすくお芝居を届けられると思うので、こんなご時世ですが、劇場に足を運んでいただけたら幸いです。
インタビュー・文=原千夏
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