――「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」(以下、「2202」)から「2205」で古代にもだいぶ変化があったと思うのですが、演じるうえで意識されたことはありますか?
彼(古代)が変わったというよりは、彼を取り巻く環境がガラっと変わったんですよね。「2202」の最後でたどり着いた答えっていうのは、彼らにとっては正しい答えだったし、地球人類が異星人と共に出した答えだったと思います。
僕は「2202」で旅をすべて終えたと思っていたので、やっぱり「なぜ旅に出るのか」という命題を叩きつけられましたね。
ただ、「2202」を経てこの3年で、彼はぐっと大人になりました。それは年齢的なものではなくて、精神的なもの。俯瞰で周りを見れるようになったなぁ…って思いました。(今まで)雪しか見ていなかったと思うんですよ。今作では周りのクルーのことも、若手のこともちゃんと真っすぐ見ています。
僕自身もそうなんです。ヤマトで演じるたびに自分のことや、自分の近くのことだけではなくて、どんどん周りが見えてきたんです。僕のそういう経験も踏まえて、「2205」で古代進を演じる時はその経験値を乗せたいなって思って演じていました。
――これまで「宇宙戦艦ヤマト」に触れてこなかった世代や、これから触れる新しい世代に向けて作品の魅力をお願いします。
ヤマトが持っている魅力、描いているテーマって普遍的だと思います。なので、どの世代の人が見ても共感できるかと。小学生が見ても、20代の方が見ても、“ヤマトおじさん”が見ても、同じ気持ちを感じられると思うんです。
(ヤマトは)「人類の為に命を落として、宇宙へと旅立つ人々のロマンと愛を描いた作品」だと思うので、それを感じていただいて、ぜひその世代間で「ヤマト」というテーマで語ってほしいですね。
ヤマトが描いている普遍のテーマを新しい世代につないでいく、今、すごく大事な時期だと思うんですよ。なので、若い方たちにも見てほしいです! そして、上の世代と語り合ってほしい!
――そんな方々に向けて小野さんがお薦めするシーンやポイント、思い出の場面などがありましたら教えてください。
今作「2205」においては、やっぱり土門と古代の関係ですね。「あいつは俺なんだ」って雪と話している時に(古代が)ポロッと言うんですけれど、まさしく僕は畠中祐を見て、「あぁ俺、昔こういうところあったな」とか、「こんな不器用なところあったな」ってほほ笑ましく思ったり、共感したりしていたんです。
改めて「あ、やっぱり俺って古代進なんだな(笑)」と思えたシーンでもあった。土門を語るシーンは好きですね。古代は土門へのシンパシーが強すぎて、土門と会話しているところってあんまり言葉が多くならないんですよね。“語らない男の美学”みたいなものを感じて。あの関係性はすごく好きです。
あとは、薮(助治)さんですね(笑)! 薮さん好きだなぁ…って、改めて思いました。やっぱり僕は役者目線で見るので、どうしてもお芝居に注目してしまうんですけれども、やっぱり(薮を演じる)チョーさんのお芝居って軽やかな中にいろんな意味とか感情が乗っかっていて、深いなって…。あと、人間の泥臭さとかズルさとか、汗とか体温を感じるお芝居をされるので、彼(薮)にもいろいろあったんだなぁ…って思いました。
なんだったら一番共感できるキャラクターかも知れない! とすら思いました。人間ってそういうところあるよねって。なので、薮助治ファンは楽しみにしていて欲しいです。生きていたってだけでもすごいうれしいですよね。
一つ自分のシーンを挙げるとすると、長い演説とも、激励とも取れる長ゼリフの中に「ヤマトは希望の艦だ」っていう言葉がありました。これはまさしく今の時代に、新しい未知の世界を進んでいく僕を含めた人々を応援してくれる…背中を押してくれる言葉だなって、今回一番好きな言葉ですね。
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