お笑いコンビ・くりぃむしちゅー(上田晋也、有田哲平)のバラエティ番組「くりぃむナンタラ」(毎週日曜夜9:55-10:25、テレビ朝日系)が、10月17日よりスタートする。同番組のゼネラルプロデューサーを務める小田隆一郎氏は、「くりぃむナントカ」や「シルシルミシルさんデー」、「くりぃむナンチャラ」など、数多くのくりぃむしちゅー出演番組を手掛けてきた。その小田氏は、長年タッグを組むくりぃむしちゅーについて「必要以上にスタッフとベタベタするようなコンビではなく、常に真剣に緊張感をもって向き合う関係」と評する。また、上田の「笑いへの熱量」、有田の「芸人愛」「脱線力」など、2人との印象的なエピソードを語ってくれた。
――まずは、くりぃむしちゅーさんとの出会いと第一印象を教えてください。
くりぃむしちゅーのお2人とは、僕が駆け出しディレクターとして参加していた深夜番組「虎の門」で初めてお仕事をしました。「虎の門」では、上田さんが「うんちく王決定戦」で注目を浴び、有田さんもノーギャラ出演で活躍されていました。ただ、僕が担当していたのは別コーナーで、くりぃむさんとそこまで絡みがあったわけではありません。本格的に関わらせていただくようになったのは、お2人の初冠番組「くりぃむナントカ」からでした。当時からくりぃむさんは、それぞれピンでも面白く、2人合わさると唯一無二に面白い、「強いコンビだな…」というのが第一印象でした。
――「くりぃむナントカ」で思い出に残っている企画は何でしょうか。
1番は「芸能界ビンカン選手権」ですね。あれは「ふざけた間違い探し」のような企画で、箱根、京都、韓国など、本当に色んなところでやりました。有田さんと大木(優紀)アナが司会を務めた企画だったのですが、上田さんが他のゲストと一緒に解答者として楽しんでくれて、「好きな企画」としてよく挙げてくださってましたね。僕らスタッフとしても、いかに演者さんを楽しませ、驚かせるかということがモチベーションになっていました。
「ビンカン」の中身や点数配分は、直前にいつも有田さんに見せて意見をもらっていたんですよ。その結果、急にパッと変わることもしょっちゅうで。有田さんは笑いに貪欲な方なので、有田さんのアンテナでキャッチした、僕らには見えないような「こうしたら面白い」っていう気づきをいろいろと提案してくださいましたね。
――「くりぃむナントカ」の後に小田さんが手がけた「シルシルミシルさんデー」では、有田さんが聖人、上田さんが悪党というキャラ付けが印象的でした。
「シルシルミシル」は、「くりぃむナントカ」の終盤にも関わってくれた藤本(達也)ディレクターがとても優秀で、彼が面白がってその図式を広げてくれたんです。普通なら、有田さんが意地悪キャラで上田さんが真面目なキャラの方が自然なんですけど、それを逆の構図にした“悪党上田”イラストで遊ぶようになったんです。そしたら、上田さんがVTRのワイプでツッコんでくれるし、面白く転がっていってくれました。
――「くりぃむナントカ」から「にゅーくりぃむ」までの「くりぃむシリーズ」で、小田さんは約17年にわたってくりぃむさんとさまざまな番組を作ってこられました。その中で特にお気に入りの企画を聞かせてください。
「くりぃむナンチャラ」の「幽霊で行こう」ですかね。もともと、ロバートの秋山(竜次)さんとラバーガールの大水(洋介)さんをゲストに招き、幽霊の格好になって、商店街でウソの心霊写真を撮影するという企画でした。でも、有田さんが脱線させちゃって(笑)。途中で大水さんが「芸人として色々悩んでいる」という話になり、秋山さんだけに写真を撮りに行かせて、上田さんと有田さんがお酒を飲みながらガチで大水さんの人生相談を聞くことになったんです。幽霊の格好したおじさん3人が、お酒を飲みながら真剣に人生相談してる様がとにかく面白かったですね。きっと有田さんも「そっちのほうがいい」と判断したから、真面目に企画をやらずに逸脱したわけですが、改めて有田さんの“脱線力”の高さを見せつけられましたね。