――長年タッグを組むくりぃむさんと、小田さん含めた「くりぃむシリーズ」のスタッフさんはどんな関係性なのでしょうか。
くりぃむさんは必要以上にスタッフとベタベタするようなコンビではなく、企画の詰めが甘い時などはお2人からご指摘の言葉をいただくこともあります。だから我々としては、「ダメならそれでしょうがない」ということにはできない。いい意味で慣れ合いではなく、常に真剣に緊張感をもって向き合う関係だと思います。
一方で厳しいだけじゃなく、アツい部分もあるんです。何年か前、ずっと深夜帯で「くりぃむシリーズ」をやってきた中、久々に23時台でスペシャルを放送する機会がありました。その時に上田さんから「最近は自分のことを芸人じゃなくて、司会者だと思っている人も多いと感じる…。だからこそ、俺たちがちゃんとお笑い芸人として活躍できる番組にして欲しい」と言われました。すごく響きましたね…。上田さんと有田さんの「面白いことをやりたい」という気持ちを叶える番組を作り続けたいと改めて思いました。
――上田さんがそんなに熱い方だったとは意外です。
上田さんは他にも「70歳になるまでずっとバカなことができるこの番組を続けたい」と言ってくださったこともあって、リップサービスかも知れませんが、スタッフとしては非常にうれしかったですね。
――番組に対する思い入れが強いんですね。
上田さんは日本を代表する司会者になられた今もなお、「自分たちは芸人なんだ」という意識でやってくださるところがすごくありがたいです。僕らも上田さんが司会者然としていると、何となく無茶なことをお願いしにくいわけですよ。
「くりぃむナンチャラ」で「ミニスカート陸上」という企画をやった時もそうでした。あの番組では、企画の詳細を前もってくりぃむさんに伝えることがあまりなく、当日に説明する場合がほとんどでして。もしかしたら難色を示されるんじゃないかと考え、本番前にスタッフみんなで上田さんのところへ行き、「ミニスカートをなんとか履いていただけないか」とお願いしようとしていました。でも、そんな話を僕らが楽屋のそばでしていたら、既にミニスカートに着替え終えた上田さんが普通に横切ってトイレに行かれたんです(笑)。無駄な心配でした…。ちなみに上田家では、お子さんと一緒に「ミニスカート陸上」を見てくださっているそうです。
――一方で、有田さんとの印象的なエピソードはありますか。
かつて「くりぃむナントカ」時代は、くりぃむのお2人がおぎやはぎさんや次長課長さんに、ストロングスタイルのムチャぶりを仕掛けることが何度もありました。「くりぃむナンチャラ」になってからも同様の企画をやっていたのですが、ある時、有田さんから「昔は次長課長、おぎやはぎと年齢的に近かったから同世代で悪ふざけをする感じでムチャぶりが出来たけど、俺たちももうベテランになっている。キャリアに差のある若手を追い込むのは、いじめみたいで良くないんじゃないか」「俺としては、芸人さんたちが出演した後に『楽しかったです、また呼んでください』と言ってもらえる番組にしたい。スベって落ち込んで帰っていく番組にはしたくない」と言われたことがあります。
――有田さんの根底には「芸人愛」があるんですね。
あと、最近の有田さんは “作り手目線”が進化している気がします。特に「脱力タイムズ」をやられるようになったあたりから、有田さんの指摘がよりテレビマンのように編集まで意識したものになっていて、作り手目線がさらに先鋭化したように感じますね。