山田愛奈「自分を崩すのは恥ずかしかった」“クール”からの脱却でさらなる飛躍へ<インタビュー>

山田愛奈 撮影:山田健史

SABU監督からまったく指示がない!初めて自分で役作りに挑戦


――まずは出演が決まったときの心境を教えてください。

この役はオーディションだったんですが、オーディションの台本課題を全部忘れるくらいに緊張していたんです。せりふが全部頭から抜けて言えなくなっちゃって。そうしたら、SABU監督がその場でアドバイスをしてくださって、何回かテイクを重ねさせていただいたんです。

結局最後まで緊張していたので、その日は自分の持ってきた荷物を忘れて帰ってしまいました(苦笑)。途中で気付いたので荷物は持って帰ることができたんですが、とにかくダメダメでした。

――オーディションの場でアドバイスをしていただいたんですか?

そうです。「もうちょっとこういう感じにしてみたら?」「そのときの感情でやって」という感じで。それに合わせて何回かやらせていただいたんですが、やっぱり全然ダメだったので、諦めていたんです。「また次のオーディションで頑張ろう」と思っていたところに、「ヒロイン役に決まりました」って電話がきました。それからは撮影まであっという間でしたね。

――そんな経緯があったんですね。実際の現場はいかがでしたか?

現場に来てみたら、SABU監督からはまったく指示がないんです。他の監督の方の現場だと「こういうキャラクターで、こういう役回りなので、こういうことをしてくれ」と提示していただくことが多いんですが、SABU監督は物語の設定しか言わないんです。撮影は3年前なので、当時は19歳。初めて、一から台本を読んで自分自身でキャラクター作りをするということをしましたね。

――雪子の役作りはどのようにしたんですか?

最初に思い描いていた雪子のキャラクターと、実際に役作りをしてカメラの前に立った雪子のキャラクターは違いました。最初は自分の中で、本当に根暗で何も言わないようなキャラクターの設定にしていたんです。特殊能力を持っている女子高校生ということだったので、“特殊能力”というイメージに強く引っ張られすぎちゃって「あの子ちょっとおかしいよね」と言われるようなキャラクターを作り上げてしまったんですよね。

でも、台本を何回も読んでいくと「特殊能力があるだけで普通の女子高校生には変わりない」と思うようになったんです。そこからはあまり特殊能力については考えず、女子高校生である雪子の真の姿というか、普通の変わらない女の子として演じようと考えました。

――それで、もともと思い描いていたものとは違う雪子になったんですね。

はい。もともとはもっとミステリアスで誰とも口を利かないような、淡々としゃべる役柄にしようと思っていました。NAOTOさんをはじめ、他のキャストの皆さんと一緒にいる中で作り上げた感じがします。

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