テレビ番組に精通するライターの前川ヤスタカが、地方番組に注目し、レビューしていく。今回は広島テレビ放送で放送されている「三四郎のDearボス」を取り上げる。
広島には全国的に名の知れたローカルバラエティ番組がいくつか存在する。
たとえば、地元広島出身のアンガールズが広島の街をロケするRCC中国放送の「元就。」は番組開始から約11年半を数えるし、同局の「千鳥の出没!ひな壇団」は6年の歴史を誇る。
そんな中、後発で2018年に始まったのが三四郎をメインMCに据えた広島テレビ放送「三四郎のDearボス」である。
2021年の3月までは「Dearボス〜トップの秘密のぞき見バラエティ~」というタイトルで広島にゆかりのある企業トップや知事など各界の「ボス」に密着する番組であったが、今では「ボス」の定義を広げ、インフルエンサーやこだわりのシェフなどと三四郎が交流する番組になっている。
先述のアンガールズは広島出身、千鳥は広島のお隣り岡山出身なのに対し、三四郎の二人は東京出身で広島とは縁もゆかりもない。加えて、これまでテレビでメインMCの番組を持った経験はなく、この「Dearボス」が彼らの初MC番組だ。
そんな彼らが広島で起用されるに至った経緯は、2021年7月の「アメトーーク!」(テレビ朝日系)「地方冠番組芸人」で番組プロデューサーから語られており、曰く「広島他局でブレイク前の千鳥を起用し成功した事例から若手芸人の抜擢を考えていた。最初は銀シャリに打診していたがスケジュールの都合で断られ、三四郎が次の候補に上がった」とのことである。もし銀シャリがオファーを受けていたら、三四郎にお鉢は回ってこなかったのだ。縁というのは面白い。
当初はそんな細い縁で広島とつながっていた三四郎だが、番組の歴史も3年を数えすっかり広島の街にも慣れた様子。のびのびと番組を楽しんでいる。