「くりぃむナンタラ」「水曜日のダウンタウン」、大喜利とクイズの化物を生み出した“遠隔操作ドッキリ”

2021/10/27 18:31 配信

バラエティー コラム 連載

ノブコブ吉村&麒麟川島&アンタ柴田、“だまされる側”に実力があるからこそ踏み込める

吉村崇(平成ノブシコブシ)※ザテレビジョン撮影


複数人による遠隔操作で「最強」の人物ができあがった両番組であるが、だまされる側の「危機管理能力」も露わになったのも興味深い。

くりぃむナンタラ」では、ぎっくり腰で欠席ということになった有田の代役として、ノブコブ吉村が相手チームのキャプテンを務めていた。なにも知らない吉村は、番組を成立させようと奮闘。“得点5倍チャンス”をいつ使うか必死で考え、敵のトレンディエンジェル斎藤が「みんなで2人を倒したいくらい」と言えば「そうだよ!」と「全員vs目黒&ウルフ」の対立構造を作ろうとし、チームメイトが弱気になれば「ここで怯えてどうする!」「緊急事態だ!」と熱弁を振るう。

宮崎美子の機嫌が悪くなっているのを察し、早押しで宮崎を倒した目黒に「なんでそんなことをするんだ君は!」と強めに当たりにいく場面もあったし、本編ではカットされていたが両チームに土下座もしていた。休憩時には、自らネットでウルフのことを調べたという(「ウソみたいに柔道しかやってなくて焦った」そう)。

一方、「ラヴィット!」では、大喜利に答えまくるあのちゃんに、MCの川島明が「びっくりする角度での答え」「50くらいの作家ついてます?」と巧みに切り返す。本編ではカットされていたが、「チーソーの赤い部分」でスタジオが静まりかえったあと、川島は櫻坂46の守屋麗奈に「一回かわいい答え言ってもらっていい?」と頼んでいた。他の芸人が答えにくくなった空気を察し、守屋から「チョコレート」という回答をもらって、一旦場のリセットを図っている。

また、「ラヴィット!」レギュラーのアンタッチャブル柴田は、大喜利で空気が荒れたあと、すっと正解を出して幕を引いていた。ネタばらし時に「水曜!」と、いち早く気がついたのも柴田で「止めないとこれダメだと思って」と振り返る。MCの川島に対し、一番遠い席に座る柴田だからこそ、全体を見渡す役割を自覚しているのだろう。

どんなトラブルが起きても、どんな空気になっても、どうにか番組を成立させようとする。吉村や川島、柴田にその力があるからこそ、だます側も思いっきり踏み込める。だます・だまされるの両サイドのスキルが高くなければ成立しない、そんな企画が1週間に2度もあるなんて、どういうことなのかと思う一週間だった。

文=井上マサキ