<松村北斗>朝ドラ“昭和の好青年”がハマり役に!内側からにじみ出る誠実さ

2021/11/13 05:30 配信

ドラマ レビュー

松村北斗“稔”「カムカムエヴリバディ」第6回より(C)NHK

“朝ドラ”こと連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)で、松村北斗(SixTONES)の好演が光っている。朝ドラ初の三世代ヒロイン(上白石萌音、深津絵里、川栄李奈)がバトンを繋ぎ1925年から100年間のファミリーストーリーを作り出す同作。現在放送されているのは上白石が演じる橘安子の物語。岡山の和菓子店の家に生まれ育った安子は14歳になると雉真稔(きじま・みのる=松村)に恋をした。賢く凛々しい稔と安子の恋は純粋無垢で「キュン」となると話題に。“昭和の好青年”稔がハマり役となった松村の魅力を、フリーライターでドラマ・映画などエンタメ作品に関する記事を多数執筆する木俣冬が解説する。(以下、一部ネタバレが含まれます)

内側からにじみ出る誠実さ


カムカムエヴリバディ」第1週で颯爽と登場した雉真稔。この白いシャツの似合う好青年は誰?と興味をもつ人たちも多かった。

松村北斗はファンをたくさん持つジャニーズ事務所のグループ・SixTONESのメンバー。でも「カムカムエヴリバディ」では、アイドル活動の時のように外へ外へと魅力を積極的に振りまくのではなく、極めて内省的で禁欲的に内に思いを秘めた人物“稔”として登場した。

松村北斗が演じる稔は「跡継ぎにふさわしい教養と品格」(第9話のセリフより)を持った雉真繊維の長男。大阪商科大学予科に通っている秀才で外国との商売も行いたいと考え英語をラジオ講座で学んでいて、彼の影響で安子はラジオ講座を聞いて英語に興味を持つようになった。稔は安子に英語と恋、ふたつの未知なる世界を拓く重要な存在だ。

第2週・第9回、稔が橘家を訪れ「安子さんとともに生きたい」と礼儀正しく挨拶したシーンは清々しかった。稔の背筋はいつもすっと伸び、正座の所作もきちんとしている。腿に置いた手がびしっと決まる。

こういう内側からにじみ出る折り目正しさは付け焼き刃では無理で、どんなに表面上きちんとしていてもどこかでボロが出てしまうものだ。

ところが松村北斗は実に堂々として迷いがない。なぜ?と思ったら空手を学んでいたそうだ。武道をやっていたからこそ、心身共に姿勢が良いのであろう。きっと真面目に精進してきたにちがいない。それが稔の役に合っている。