<松村北斗>朝ドラ“昭和の好青年”がハマり役に!内側からにじみ出る誠実さ

2021/11/13 05:30 配信

ドラマ レビュー

【写真を見る】イメージがらり!松村北斗“稔”の浴衣姿にうっとり「カムカムエヴリバディ」第5回より(C)NHK

劇場版「何食べ」では“いまどきの若者”役


松村北斗の魅力はこの清潔感あふれる古き良き昭和男子の面だけではない。「カムカム」のインスタグラムでは違う顔を見せている。

第8話、安子と食堂で蕎麦を食べる場面撮影の合間に撮ったものだと思うが、稔の気持ちで好物を語る松村は、かなり肩の力が抜けていて稔とギャップがある。ドラマでは安子を引っ張っていく頼りがいのある年上の男性というイメージだが、インスタでは上白石萌音にツッコまれていた。それが逆に面白くてますます好印象。

松村北斗のギャップの魅力は公開中の劇場版「きのう何食べた?」(以下何食べ)と「カムカム」を比べると明確になる。

「何食べ」ではいまどきの若者・田渕を演じている。内野聖陽演じるケンジの勤務する美容室の若手で、思ったことを忖度せずに口に出すが、けっして悪気がなくけろっとしていて憎めない。

ある時、ケンジと田渕がたまたま一緒に歩いている姿をシロさん(西島秀俊)が見てふたりの関係にやきもきして……という重要な役割を担っている。

この映画では内野聖陽の芝居から、おおいに学んだらしい松村。

内野といえば朝ドラの前作「おかえりモネ」でヒロインのお父さん役だったが1996年に放送された朝ドラ「ふたりっ子」でヒロインの相手役を演じていた。つまり朝ドラヒロインの相手役の先輩・後輩の共演として見ると「何食べ」がまた別の角度から楽しめる。

……やや話が逸れたが、朝ドラと映画、ちょうど同時期に世の中に披露されている2作での雰囲気があまりにも違うので、朝ドラを見て、え、「何食べ」の田渕?映画を見て、え、朝ドラの稔さん?と戸惑うこと請け合い。

ひと昔前の雰囲気が似合う俳優は現代性がやや不足し、現代性のある俳優は昔の役がやや似合わないということがよくあるものだが、松村はどちらも自在に行き来できているように見える。

口を開けて笑う時の屈託なさと、きりっと口を閉じた時の顔の印象がかなり違う。