これの個性を最大限に生かしているのは主演映画「ライアー×ライアー」(2021年)であろう。ヒロインや眼中にない人には無愛想に振る舞うが、意中の女性にはデレまくりのギャップの激しい役を鮮やかに演じていた。
意外な一面をのぞかせる役といえば、連ドラ「パーフェクトワールド」(2019年、フジテレビ系)での芝居も印象的だった。
足に障害をもつ青年の役でふだんは気にしてないように見える。むしろチャラいくらい明るいが、内心は葛藤を抱えている。気づかれないように折れそうになる心を必死で立て直そうとしている姿が胸を打った。
松村北斗を大人の立場から見ると、朗らかに穏やかに人懐っこく振る舞っていながら、懐には精神的な守りとしての懐剣を忍ばせているかのような凛としたものをちゃんと持っているのだなと、若者なりの真剣さに敬意を払いたくなるのである。
その清らかな魂が「カムカムエヴリバディ」で最大限に生きている。
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