――先ほどの狭いキッチンというのは、情報解禁時に公開されたクマの縫いぐるみと写っているカットですよね。あれは何でクマの縫いぐるみを使おうと思ったんですか。
あそこのキッチンはすごく狭くて、光の入り方が暗めだったので、撮るのが結構難しかったんですよ。ストロボを炊くとカッコ良くなっちゃって。ここはフランス映画とは対極で、ちょっと湿度のある感じにしたかったので、フラッシュなしで撮ったり、いろいろやってたんです。
そのなかで「どっちの要素も混ぜたら面白いかも」「もっとカオスでもいいかも」って話になって、他の衣装用に用意してたクマの縫いぐるみの使わなかった方をちょっと下に敷いてみようって (笑)。
そういう遊び心から生まれたカットなんですけど、見てみたら意外と良くて、キッチンにクマの縫いぐるみって普通はおかしいんですけど(笑)、でも何かまとまっている感じがあって、画として面白いなって思いましたね。
――水着がレオパード柄にも見えたので、“弱肉強食”みたいなコンセプトがあるのかな?と思ってました(笑)。
ハート柄なんですけど、そういう柄に見えますよね。でも、“強い女の子”じゃないですけど、1人で生きていけそうな女の子をイメージしてたので、その見方は割と合ってるかもしれないです(笑)。
――あと、インパクトが大きかったのはワイヤーとビーズみたいなものを身にまとった写真だったんですが…あれは服なんでしょうか?(笑)
あれはネックレスなんです。(プロデュースを務めた『Numero TOKYO』編集長の田中杏子氏が)何か面白いの持ってきてくれてると思ったら、「これだけとかいいんじゃない?」って(笑)。
それでそのネックレスだけを着けて、その上にジャケットを着たカットもあるんですけど、ジャケットを脱いで手ブラで、すっごく変わったネックレスを着けてたらカッコ良いかもしれないってなって、それで決めましたね。
――セクシーなカットが多い分、序盤に出てくるゴルフウエアが印象的でもあります。
実はあれがファーストカットなんですよ。あれからいろいろ様子を見ながら撮影していきました。車の中というちょっと小さな空間でゴルフウエアを着ている女の子はかわいいんじゃないかということで入れていたんですけど、でも撮影を進めていくにつれて、あれを入れるところがないんじゃないかって雰囲気が出てきて。
みんな「いらないんじゃない?」とか言ってたので撮り終わってからすごく不安だったんですけど、入れてみたら結果的に「何かいいね」みたいな。ちょっと他とは異質ですよね。というか他が異質なんですけど、逆にあれが異質に見えるっていう不思議な感じになりました(笑)。