――2013年に松竹芸能から独立し、事務所を設立してから、8年あまりが経過しました。フリーとして活動してきたこの期間を振り返ってどう思われますか。
森田:シンプルに、8年間倒産せずに意外といけんねんなという感じです。
東ブクロ:今はフリーで活動する芸人も増えてきましたよね。それこそ、ラランドやフワちゃんもそうですし、俳優さんや女優さんも事務所から独立される方が多いですよね。結果論ですけど、時代の流れに合ってたんだと思います。
森田:まあ、入所させてくれるような事務所もなかったですからね。もしも運よくどこかに所属できたとしても、もともとその事務所にいる芸人さんたちに角が立っていたはずですし。だから、自分でやるしかないという気持ちでフリーになりました。
――今はさらばのお二人とマネージャーさんの三人体制で個人事務所「ザ・森東」を切り盛りされていますが、いずれは事務所を大きくしたいという願望はありますか。
森田:僕らももうおっさんになってきているので、将来的に人を入れてもいいかなとも考えますが、今のところは考えていません。仮にタレントを所属させるとしたら、名もなき若手ではなく即戦力が欲しいです。力のある有名人が移籍してくれたら、その人が既に持っている仕事の何割かをいただけるので(笑)。
――昔、無名時代のフワちゃんが「ザ・森東」に加入するかも…という話もあったそうですね。
森田:フワちゃんは、ブクロとうちのマネージャーが無名時代から「声をかけるならこの人やな」と目をつけてたみたいなんです。今でも「獲れば良かった」と後悔しています(笑)。
東ブクロ:一度K-PROのライブで無名時代のフワちゃんと共演したんですけど、当時からえげつなかったですからね。初対面でもガンガンタメ口でくるし、何を言っても返してくるし、楽屋でもあの感じだし。「これは売れる星の元に生まれた人やな」と思ってたら、あっという間に売れてました。
森田:まあ、フワちゃんが入ってたとしたら、「フワちゃんのために」という責任感が一つ増えるじゃないですか。それはそれで大変だろうから、今の体制のほうが気楽でいいですね。
――ほかに、フリーで良かったと感じることはありますか。
森田:自由にできるところですね。先日、Aマッソの結婚報道があった時に、YouTubeのカメラを回しながら、加納と村上がラジオの生放送をしているところに突撃しました。事務所に所属していたとしたら、まずは事務所通して…となりますけど、個人事務所だから思い切って仕掛けられたという部分はあります。全部自己判断で、全部自分に返ってくるので、身軽で動きやすいというか。大人をあまり介在させないことのメリットは、僕らにとって大きいんじゃないかなと思います。
――先ほど、東ブクロさんがおっしゃったように、フワちゃん、ラランドさんなど、フリー芸人の活躍が目立ち、また、芸人以外でも芸能事務所から独立するケースも増えています。この時代の流れをどう見ていますか。
森田:本当に独立するのが普通の時代になってきましたよね。5年くらい前は絶対考えらえなかったことですから。「芸能界が崩壊してきた」と言われたりしますけど、個人的には良い方向にいっていると思います。現にこんな個人事務所の芸人を重宝して呼んでくれるような番組や企業がたくさんあるわけですし。それこそ、ラランドみたいに最初から独立して始める人も増えてくかもしれないですよね。
東ブクロ:ただ、僕らはこっち側にいるからいいですけど、事務所側からしたら嫌な時代だと思いますよね。手塩にかけて育てた人たちが、どんどん抜けていく可能性があるわけですから。なので今さらになって、「簡単に辞めるというのも良くないな」と思うようになりました(笑)。
森田:え、そっち側(笑)?でも結局、事務所が合う人はいたらいいし、逆に文句ばっかり言ってるんだったら辞めたほうがいい、ぐらいのことなんですよ。だって、大手にいるメリットは絶対にあるから。特に今売れてる人たちなんて、独立しても面倒くさいだけだと思いますよ。
――最後にコンビ・個人としての野望をお聞かせください。
森田:このまま単独ライブを毎年やって、テレビも出て、YouTubeをやって…という今の状態を一つの「円」として、この「円」がもっと大きくなっていけばいいですね。正直、50歳には隠居したいんで、それぐらい稼いでおきたいです。万が一干されても、痛くもかゆくもないぐらいの状態にはなっておきたいですね(笑)。
東ブクロ:野望かぁ…。もうわからんようになりました。昔は「冠番組を持ちたい」とも考えたりしてましたけど、今はそういう時代でもないですし。10年後も「芸人やれてたらええやん」と思います。僕個人としては、まっとうに生きて、好感度を普通の人間レベルぐらいにしていきたいです。
文、撮影=こじへい
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