――出演オファーを受けられた際のお気持ちを教えてください。
白石和彌さんをはじめ、制作スタッフや高橋監督の熱意に感動しました。皆さんが長年温めていた企画が、時を経てようやく形になる瞬間に立ち会える事、とても嬉しく思いましたし、お声をかけていただいた事を光栄に思います。
――主人公・岩切を演じられていかがでしたか?
空気や太陽の光はタダなのに、どうして水はタダじゃないんだと、世の不条理に疑問を持ち始める主人公に少しの希望と微かな光を与えることが出来たらという思いで精一杯演じました。
――高橋監督の印象はいかがでしたか?
この作品に賭ける思いが非常に強く、情熱に溢れた監督です。これまで多くの方々の信頼を得てきた高橋監督との撮影は私にとっても刺激的な毎日でした。
――白石和彌さんの印象はいかがでしょう?
多くの名作を残し続けている白石さんが、どのようにして別の視点から物語を創り出すのか、非常に興味を持ちました。映画の現場が好きで、日々を面白く生きているユーモラスな方です。
――劇場公開を待つ皆さまへメッセージをお願いします。
多くの事がシステム化され、疑問を持たずに波風を立てずに日々を過ごすことが上手な生き方なのかもしれません。ただ、なにか違う。このままでいいのかとふと立ち止まり、自分を見つめ直す事も悪くない。そう思わせてくれる作品です。公開を楽しみにしていてください。
――映画化までの経緯を教えてください。
ある日、長谷川プロデューサーから読んで欲しい脚本があると送られてきたのが本作の脚本でした。この企画自体は前々から存在していること、既に脚本も出来ていることは風の噂で聞いていましたが、実際読ませて頂くと、脚本の持っている力に打ちのめされ、ぜひ参加させてほしいとお願いしました。
――原作小説の印象はいかがでしたか?
格差の中で生きる人々への眼差しが、時に優しく時に残酷で、ずっと身体の中に沈澱し続けるような原作でした。読みながら河林さんはいったいどんな方でどんな世界を見ていたのだろうと、そればっかりを考えていました。
――本作の魅力を教えてください。
原作者の河林さんが見つめる社会への眼差しと、高橋監督の優しさ、なんとしても今この映画を完成させて世に届けたいという執念が、これ以上ない形で凝縮されています。生きていくことを問いかける本作は社会の厳しさを描く反面、それでも強く生きていこうと思わせてくれる映画になっています。
――主演、生田斗真さんの印象はいかがでしたか?
もう生田さん以外にありえないと思ってお願いしました。立ち姿が素晴らしいのはもちろんですが、主人公・岩切の抱える悲しみと苦悩を多く語らずとも表現してくれる俳優は生田さんだけではないかと、皆の意見が一致してオファーさせて頂きました。スクリーンに映る生田さんは、やはりとてもたくさんのことを感じさせてくれる素晴らしい俳優です。生田さんの新しい側面をお見せできると思います。
――高橋監督についてはいかがでしょう?
私よりも先輩で多くの映画に関わられていて、映画界で活躍されているのはずっと知っておりました。初めてお会いした時にその人柄と映画に捧げてきた人生と、そして何よりその頑固で自分を曲げないところに完全にヤラれました。最高の監督です。
――今の時代に本作を通し伝えたいことはありますか?
河林さんが小説を発表してから30年あまり世界は変わっていないどころか格差は広がりより生きづらくなっていると感じます。この映画はそんな社会に対して物申すというよりは、現代を生きる我々に欠けてしまったもの、必要なものを問いかける映画です。簡単に答えは出ませんが、その答えを探す過程こそが何よりも尊く、生きている意味を見つける近道なのだと思います。
――劇場公開を待つ皆さまへメッセージをお願いします。
完成までもう少しです。私も早く大きなスクリーンで完成した状態を見たいです。そして多くの方とこの映画について語り合ってみたいです。皆さま、楽しみにお待ちください。
※高橋正弥の高は正しくは「はしご高」