BLUE ENCOUNTの田邊駿一「ドラマを見るとき、大事にしているのはキャスト」<ドラマコラム連載第2回>

2021/11/29 09:00 配信

ドラマ 連載

「SUPER RICH」の江口のりこ(C)フジテレビ

主演でも脇役でも存在感のある俳優さんたち


ドラマはそのときの旬な人、勢いのある人がすぐに分かるのも面白いところ。「SUPER RICH」(フジテレビ系)の江口のりこさんなんてまさしく勢いがある人。今回がゴールデンの連続ドラマ初主演だと思いますが、「ついにここまできたか~」としみじみ感じました。以前から、シリアスもコミカルな役柄も何でもこなし、様々なドラマに出演されていましたが、「半沢直樹」で国土交通大臣を演じたことから変わってきた印象。どんどん役も大きくなって、ついには主演! やっぱり演技力で裏切ってきますよね。この作品のキャスティング担当の方は本当にセンスがいいです。これからも主演はもちろん、クセのある脇役でもたくさん出てほしいです。
 あと、今めちゃくちゃ気になっているのは田中みな実さん。「最愛」(TBS系)でフリーランスのルポライターを演じていますが、めちゃくちゃすごくないですか? ちょっと前までは「M 愛すべき人がいて」(2020年テレビ朝日系)で、「許さな~い!」とシンバル叩いていたのに、この振り幅。そして元アナウンサーさんですから。すごい逸材だと思います。今後どういう女優さんになっていくのかかなり楽しみです。

「日本沈没―」の風吹ジュン(C)TBS

 そしてドラマを見続けてくると、すごく大事だと感じるのが主人公の両親を誰が演じるかということ。「日本沈没―」では主人公・天海の母親役を風吹ジュンさん、「最愛」では主人公の梨央(吉高由里子)の母親役を薬師丸ひろ子さん、父親役を光石研さんが演じていますが、このキャスティングがすごくいいんです。
 「日本沈没―」の風吹さん演じる佳恵は、息子のことを誰よりも信じている堅実で頼りがいもある女性。なんで天海みたいな人物が生まれてきたのかが一目で分かります。対して、「最愛」の薬師丸さん演じる梓は、明るくて気が利くけど一筋縄ではいかない雰囲気がプンプンの女社長。もう笑顔が怖い(笑)。彼女を見ると、亡くなってしまった父親の優しさが身に染みて梨央の東京に来てからの孤独感が伝わってきます。出番こそそこまで多くないのに、主人公たちのキャラクターや心情を、主人公たちを登場させずに瞬時に伝えるって凄すぎです。毎回、色んなドラマを見るたびにうならせてもらっています。
 ちなみに僕の中での“今一番、お母さんが似合う女優”1位が風吹さんです。日本のお母さんらしい包み込んでくれる優しさはもちろん、映画「真夏の方程式」(’13年)で演じたちょっとタバコを吸っちゃうみたいな妖艶な役もできるすごい女優さん。去年放送されていた「有村架純の撮休」(WOWOW)ではまごう事なき有村架純のお母さんでしたから。その馴染み方というか、あれには驚きました。本当に演技の幅が広いんですよ。次は、女を忘れていないちょっとダメなお母さんも見てみたいです。