多くの小劇場が軒を連ねる東京・下北沢で今注目を集めている劇団「艶∞ポリス(ツヤポリス)」。彼らの新作公演「個性が強すぎるのかもしれない」が4月19日(水)~25日(火)に“小劇場界の登竜門”といわれる「駅前劇場」で上演される。
同劇団は、2013年に旗揚げ、2015年の第三回公演より4公演続けて全ステージ満員御礼と人気を博している。脚本・演出を手がける岸本鮎佳が「ああ、こんな人いる!」と誰もが共感できるキャラクターを描き、日常での“気まずく”、“切なく”、“恥ずかしい”…そんな微妙な距離感を、絶妙な会話でつむぎ上げる群像コメディが支持されている。
新作公演「個性が強すぎるのかもしれない」は、“普通の幸せ”を求める不器用だけど愛おしい男女11人によるオムニバス群像劇。
劇団サモ・アリナンズのメンバーで、NHK教育の子供番組「みいつけた!」のキャラクター“サボさん”としても知られる佐藤貴史、テレビドラマや映画に多数出演、NHK Eテレ「エイエイGO!」に“キナコ”として出演する小林きな子、劇団はえぎわに所属し、シアターコクーン・オンレパートリー2014+大人計画「キレイ~神様と待ち合わせした女~」などにも出演の町田水城らを客演に迎え、タイトル通り“個性が強すぎる”キャストを揃えての集大成ともいえる作品になっている。
上演に先駆け、脚本・演出を務める岸本にインタビューを行った。
――まず、新作公演「個性が強すぎるのかもしれない」はどんな公演なのでしょうか。
「個性」ってもちろん誰にでもあるものなのですが、「個性が“強すぎる”」人って、社会の常識からズレていて、不器用な人が多いと思うんです。
普通の人が合わせられる事を合わせられなかったり、人と違うファッションを好んでしていたり。でも、そういう人って、「はみ出し者」扱いされることもあれば、人から少し羨ましがられることもあったりして、私はそういう人が、かわいくて好きなんです。
でも、そういう個性が強すぎる人は、普通の人が手に入れられる幸せからは、縁遠かったりして。
例えば結婚とか…「何で結婚できないんだと思う?」って友達に聞いた時に、「個性が強すぎるのかもしれないね」って言われたら、しっくりくるというか、嫌な感じはしないですよね。
「個性が強すぎるのかもしれない」という言葉は、“嫌味”と“褒め言葉”、受け取る側によって意味が違っていて、そのギャップみたいなものが面白いんじゃないかと思ってこのタイトルをつけました。
なので、タイトル通り、個性的な役者さんを集めました。「この人たちが同級生で同じクラスにいても、絶対に同じグループに属さないだろうな」という、キャラクターの細かい描写や価値観を自分と照らし合わせて見たら、より面白さを感じていただけると思います。
――公演を重ねるたびに動員を増やし、支持が広がっていっている…その手応えは感じますか?
先日、下北沢で突然「艶∞ポリスさんですよね?」って話しかけられて…正直、ビックリしました。
劇団を立ち上げてまだ3年しか経っていない新参者ですし、私自身はずっと舞台をやってきたわけでもなく、実は、下北沢という場所が演劇人にとってどんな場所かもわからないまま始めたんです。
この3年は、「とにかく『艶∞ポリス』を1人でも多くの人に知ってほしい!」という思いでずっと駆け抜けてきました。だから、私の知らないところで話題にしてもらっていることは、本当にうれしいですし、続けてきてよかったなと思っています。
――脚本・演出・出演において、大変なこと、特に意識していることはありますか?
一番大事だと思っているのは、「キャスティング」です。
私のお芝居は、全て宛書なので、役者さんの力なしには絶対に完成しない脚本なんです。だからこそ、キャスティングで妥協はしないですし、役者さんと出会ったらいつも「この人に出てもらうとしたら、どんな役かな?」ということを考えてしまいますね。
それと、私は演出をしながら、普通の役者さんと同じ分量で出演もしているのですが、演技をしながら違和感を見つけてしまったりした時などは、頭の切り替えが本当に難しいです。
――劇団としては、今度どのような目標を抱いていますか?
とてもシンプルなんですが、立ち上げた時からずっとスローガンのように言ってるのは、「スズナリ、本多、パルコ」です。絶対にこの3つの劇場でやりたいと思っています。まずは、下北沢の聖地である「スズナリ」という劇場を目指しています。
今回の「駅前劇場」も一昨年の目標の1つだったんです。そんな駅前劇場で「1000人動員」というのは、大きな転換期になると思います。でも、この公演を通過点とはもちろん思っていません。
駅前劇場でしか出来ないお芝居を作り上げて、満員のお客さんの前でやりたい。常に「最高に楽しい時間を、来ていただいたお客さんに過ごしてもらうこと」、それが次に繋がると考えています。
――最後に改めて、新作公演「個性が強すぎるのかもしれない」に賭ける意気込みをお願いします。
舞台に興味はあるけど何を観たらいいか分からない方って、結構いると思うんです。でも、このお芝居を観たら、きっと舞台を好きになってくれるはずです。キャスト、スタッフ一丸となって、面白い作品をお届けするために稽古をしていますので、楽しみにしてくださっている方はもちろん、舞台初心者の方、日頃笑い足りない方…ぜひ笑いに来てください!
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