清水富美加&松井玲奈が漫才コンビを演じる青春映画「笑う招き猫」の4月29日(土)公開に先立ち、現在放送中のドラマ版(毎週火曜夜1.28-1.58ほか、TBSほか)も好評を博している飯塚健監督。「荒川アンダー ザ ブリッジ」(ドラマ版=’11年TBS系、映画版=’12年公開)や、ドラマ「REPLAY&DESTROY」(’15年TBS系)、「神奈川県厚木市 ランドリー茅ヶ崎」(’16年TBS系)、映画「風俗行ったら人生変わったwww」('13年)、「ブルーハーツが聴こえる」(’17年)などなど、ジャンルを超えた創作活動を続ける彼に、映画とドラマの演出法の違いといった作品づくりのメソッドや、今後の“野望”を語ってもらった。
――監督デビュー作の「Summer Nude」(’03年)からしばらく映画が続きましたが、当初からテレビドラマを撮ってみたいという思いはあったのでしょうか?
「もともと映画を撮りたい人間なので、正直ドラマのことは全く頭の中になかったんですよね。僕とは畑が違うと思っていましたし。ドラマ版の『荒川アンダー ザ ブリッジ』を撮ることになるまでは、意識もしていませんでした。だから、そのときもまだ“尺感”(本編の放送時間を測る感覚)が全然分かってなくて、衝撃的な“尺短”が起こったんですよ(笑)」
――あのドラマは30分枠でしたから、CMを抜くと正味24分弱。どれくらい短くなってしまったんですか?
「今でも忘れもしませんよ、お茶会がテーマの第3話で、撮ったものをバンバンつないでいったら、10分以上足らなくなっちゃったんです(笑)。それで慌てて、あの手この手でお茶会のシーンを延ばした、という…。最終的に尺を合わせられたのは奇跡でしかなかったと今でも思います(笑)」
――映画とドラマでは演出にも違いがあるのでしょうか?
「根本は一緒なんでしょうけど、映画は、観客が大きいスクリーンを集中して見るものなので、話している登場人物はもちろん、それを聞いている側のリアクションも見てもらえる。そうすると、いちいちアップで寄らなくてもいいから、立体的に芝居が作れるわけです。別に(カットを)割らないからいいとは思わないし、割るからダサいとも思わないんですけど、アップっていうのは、その人ひとりしか映っていないわけで、一番情報量が少ない画(え)なんですよ。だけど、スクリーンだと複数の人物が見渡せるから、その人たちを動かすことで、どんどん芝居の幅が広がっていく。
その点、テレビは画面の大きさも限られてるし、“ながら見”のメディアですから、ある程度カットを割って、寄りの画を多くした方が見やすくなる、というのがあって。ただ、その辺の違いを意識し始めたのは最近のことなんです。それこそ『笑う招き猫』以降かもしれません(笑)」
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