――無観客の頃、リアクションを見られないからネタ作りに悩むということはありましたか?
松陰寺:それはあまりないです。単独ライブでやったネタは初卸ろしのものだし、自分たち二人の意見しか参考にするものはないので。ただ、ウケるかウケないか不安な部分は当然毎回あります。
シュウペイ:練習の時は練習通りのことしかできないんですよ。でも本番だと、お客さんの笑いの間を待ったりできるんです。だから本番で調節することもあります。
松陰寺:正解は本番の間なんです。練習通りやるというより、練習はベースにありつつ、本番を正解の間でできたのが今回のライブなんじゃないかなと思います。練習していてもノッてこないですもん。疲れてばっかりなので(笑)。お客さんがいたらノッてくる。
シュウペイ:練習は、とりあえず覚えなきゃというだけだよね(笑)。
松陰寺:僕ら練習中はビックリするくらい声張ってないので。
――確かに(DVDに収録されている)メーキング映像で見た練習シーンでも声を張ってなかったですね(笑)。
松陰寺&シュウペイ:(笑)。
――“ノリツッコまないツッコミ”でおなじみの松陰寺さんですが、そうではない一面を出す機会も増えてきています。“ノリツッコまない”についてはご自身でどう捉えていますか?
松陰寺:ネタに関してはやっていこうかなと思っています。でも変化はつけていきたいです。お客さんももう僕らのことを知っているので、「“ノリツッコまない”をするんだろうな」と思って見ているじゃないですか。だからそのままやるより、どう裏切っていくかということは意識しています。肯定しているようでよく聞いたらめちゃくちゃなことを言っている、とか。
――2019年の「M-1」で話題となるも、2020年は準決勝敗退。当時の結果についてはどう感じていますか?
松陰寺:納得はしています。決勝に行くレベルじゃなかった。僕らは、形は一緒でも漫才の内容が違ければウケるのかなと思って2020年の「M-1」に臨みました。でも、2回戦で全然ウケなくて「あれ? こんなにみんなすぐ離れていくんだ」と思って「やばい」と話し合った。
シュウペイ:2回戦で落ちるんじゃないかと思った。「やべぇ」って。
松陰寺:本当に。ちゃんと「M-1」用に3分でウケる形に作ったんですけど、2019年の追い風を全く感じなくて。だから、そこからちょっと崩したネタをやることで、なんとか準決勝まで行けたのかなと思っています。
――予想される難しさがあるんですね。
松陰寺:ありますね。そこは変化球なネタをやるみんなのテーマだと思います。王道はずっと王道をやっていてもいいじゃないですか。変わったネタになるとインパクトが強い分、次にそれをやった時にハードルが上がってしまう。
シュウペイ:期待されすぎて「どこかを変えてくるだろう」という目線で見られていたのに、「どこが変わるんだ」と探されている間にネタが終わっちゃった。だから反応が悪かったのかな。
松陰寺:でも冷静に考えて、いきなりこんなにテレビに出させてもらえるようになったほど強いネタができたのに、それを早々と手放すわけないじゃないですか。これで世に出られたのに。
シュウペイ:シンプルに笑ってくれればいいのにね(笑)。
――一方、2019年に優勝したミルクボーイは同じ構成でもウケ続けていますよね。
松陰寺:そこの差ですよね。そういう意味でも今のネタを極めたい。だから今回の単独ライブでも、そこまで大きくネタを変えることはしなかったんです。