「登場人物全員駄目人間」を掲げた作品を描くプロデュースユニット・浮世企画の最新作「メッキの星」が4月13日(木)から開幕する。今回は「実は経歴詐称だった」「SNSで生活の充実ぶりを見せていた人が罪を犯していた」といった実際にあった事件から、誰にでも起こり得る現象として法廷まで行きつく一人の女性の孤独感を描いていく。脚本・演出を手掛ける今城文恵に今回のテーマを取り上げたきっかけや見どころを語ってもらった。
「『美人整形外科医』としてメディアに取り上げられていた方やSNSでブイブイ言わせていた女性が詐欺罪で捕まったり、キャスターの方が経歴詐称をしていたり、芸能人の方が窃盗をしていたり…。そういう『実は◯◯だった!』というさらし上げのような報道が続いている時、自分自身も日頃自分をよく見せたくて気持ちを隠したりうそをついたりしていることにハタと気付いたんです。
誰にでもそういうところはあるはずで、みんな明日はわが身だろうし、一体誰が渦中の人たちに石を投げられるんだろう?と思ったのが最初です。そこから自分が渦中の人と近い存在だったらどうするか? うそつきはなぜうそをつくのか?というところを考えて、作品になっていきました」。
毎回キャスティングにもこだわる浮世企画の今回の出演者には、ことし1月の人気舞台「あんさんぶるスターズ!オン・ステージ」で初舞台を踏んだ村川翔一や、ドラマ・映画など映像から自らの企画公演も立ち上げる結城洋平、浮世企画の常連メンバーともいえる鈴木アメリ、ヨーロッパ企画を退団後、Eテレ「デザインあ」に参加するなどマルチに活躍する山脇唯らが出そろう。やはりすべての役が「全員駄目人間」を演じることになる。
「村川くんは頑固な素直さというか、何にも染まっていない、染まらなそうなことが存在感になる方だなと思いました。ご本人と正反対の役柄に共通点を見つけてそこから伸ばしていく作業は私も刺激的でしたし、本番では女性のお客様を『最低だけど嫌いになれない』というジレンマに陥れることができるんじゃないかと期待しています(笑)。
主役のアメリさんは、浮世企画にもう7回も出演いただいておりまして、私の脚本や演出への理解が早いですし、どんどん進化する表現力に絶大な信頼があります。
美子役は稽古場で何度もどん底まで落ちる必要があるなと思った時に、アメリさんの明るくてガッツのある人柄も重要だろうと思いました。
結城くんは、別現場でお会いした時に、お芝居に対してとんでもなく真面目で気遣い上手な方だというのが強く印象に残っていたんです。ご自分で公演を打つ表現欲の高さにも感動しましたし、今回の役柄に結城くんの持つ雰囲気がハマりそうだと直感したのが決め手です。舞台上で、普段は絶対見せないであろういろいろな表情をしてくれると期待しています。
山脇さんは、とにかく人や言葉に対する感覚が似ているので話が早いですし、起業家という今回の役柄をカラフルに演じていただけそうだなと思いました。他ではなかなか見られないしたたかな山脇さんをお見せできると思います」とキャスティング、演出にも期待ができる。
「“登場人物全員駄目人間”を掲げる浮世企画の中でも、ダメを通り越してクズといえる人物ばかり出てきます。その裏に何があるのか、また誰が一番のクズでうそつきなのか、いや意外と共感してしまえるのか、大笑いできるのか、泣いてしまうのか、一人一人感想が違うものになるだろう作品です。
特に仕事、恋愛、家族に日ごろ何かしらのストレスを感じている女性に強くお勧めします。あとはとにかく個性的で色気のある役者たちがそれぞれの役を生きている様を、とんでもない至近距離から見られますのでぜひ劇場へ!」。
新宿・SPACE雑遊にて4月18日(火)まで上演中だ。
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