大石昌良が「音楽で人の心を動かしたい」を突き詰めた、涙のアンプラグドライブリポート

2021/12/29 21:30 配信

音楽

大石昌良としてのこだわりが詰まったバンドライブ

『大石昌良が本気でやるアンプラグド・ワンマンライブ』より 撮影=大参久人


通常のライブハウスやホールではなく、食事やお酒と共に音楽を楽しめるライブレストラン「Billboard Live TOKYO」の雰囲気に合わせたラグジュアリーな衣装に身を包み、今宵のステージを共に作り上げるバンドメンバーたちと本人が登場すると、弾き語りライブでも定番の「パラレルワールド」からスタート。バンドアンサンブルを存分に活かしたジャジーなアレンジで定番ナンバーの新たな一面を開拓すると、「カブライダー」へと続け、出だしからいつも以上に力の込もった“本気”の空気を醸し出す。

ウッドベースの重厚な調べから「せっかくなので普段やらない曲を」と始まったのは「終焉的メロドラマ」。転調の多い楽曲をバンドメンバーと息を合わせながら巧みに奏でると、「幻想アンダーグラウンド」では何倍にも増幅された妖艶なサウンドで夢の世界へオーディエンスを誘っていく。

いつも披露している楽曲もバンドで演奏すると感覚も異なるようで、リハの時から気持ちよくできていたという「ストーリー」では自然体でリラックスした表情で会場の隅々まで幸福感を届けていく。そしてバンド解散後(2011年に再結成)にソロのシンガーソングライターとして歩んだ13年の月日を振り返り、一番最初の起点となった曲をとデビュー曲「ほのかてらす」を披露。優しく鳴る鍵盤の音色がノスタルジックな雰囲気を演出すると、『海を見ていた ぼくは』へと続きフロア全体をあたたかな空気で包みこんだ。

『大石昌良が本気でやるアンプラグド・ワンマンライブ』より 撮影=大参久人


落ち着いた雰囲気から一転「理想郷へ向かいましょう!」と勢いよく声をかけると「ユートピア」へ。楽曲で描かれる歪な恋愛模様を色とりどりのバンドサウンドで鮮やかに表現すると、間奏では、MC中に入念に練習した振り付けでファンと動きを合わせる。バンドアンサンブルによってよりダンサブルになった「トライアングル」ではドラムとの軽快な掛け合いも披露し、音楽を本気で楽しむ姿でオーディエンスを沸かせた。