大石昌良が「音楽で人の心を動かしたい」を突き詰めた、涙のアンプラグドライブリポート

2021/12/29 21:30 配信

音楽

「音楽で人の心を動かしたい」思い入れの深い楽曲に…涙のクライマックス

『大石昌良が本気でやるアンプラグド・ワンマンライブ』より 撮影=大参久人


今日のこの日へ辿り着くまでの音楽人生に思いを馳せながら「アニメソングとの出会いは大きかった」と振り返ると、アニソンへのリスペクトと親戚たるオーイシマサヨシへの愛を込めて「君じゃなきゃダメみたい」をカバー。ファンキーなサウンドがバンド演奏によってより彩り豊かに演出され、目まぐるしく変わる展開が印象的に変貌していた。そして「ようこそジャパリパークへ」ではミラーボールも回って本当の意味での“大騒ぎ”に。これまで紡いできた音楽のカラフルさを再認識させる構成で圧倒すると、いよいよクライマックスへ。

夢を胸に上京するも挫折を味わった若き日の迷いと葛藤が「東京の景色が問いかける」というフレーズで描かれた『東京ループ』を、リリースからおよそ10年後のこの日、絆の深いバンドメンバーと大勢のファンに囲まれ、東京の中心・六本木で演奏する。ラストのサビに差しかかる直前、ステージ後ろのカーテンが開くと東京の夜景が光り輝き、特別な瞬間はより特別に彩られ、会場のボルテージは頂点へ達する。あまりに情感溢れる光景と共に、夢への覚悟が込められた歌声が響くと、頬を濡らすファンに感化されてか、大石昌良の目にも涙が。

この後に開催された二部では、同じく大きな転機となった曲として「耳の聞こえなくなった恋人とそのうたうたい」が夜景をバックに披露された。一部二部、共に実体験を元に描かれた愛の歌がアンプラグド編成によってさらに迫力を増し、会場だけでなく配信でも見守るすべてのファンの胸に響いたはずだ。

「音楽で人の心を動かしたい」。紆余曲折の音楽人生の中でただ一つブレずに抱き続けた信念を改めて表明し、このステージへ導いてくれたすべての出会いに感謝を述べると、「ただいま」でフィナーレを飾る。いつもとは異なるバンド編成、六本木のライブ会場という非日常的な空間、クリスマス直後の年の瀬というタイミング、まさに特別だらけのライブにあっても、変わらずに全力の笑顔をファンと交わし合うと、割れんばかりの拍手に包まれてステージを後にした。

『大石昌良が本気でやるアンプラグド・ワンマンライブ』より 撮影=大参久人


宣言通り「本気」の姿勢を貫きながらも、音楽を楽しみつくす大石昌良の真骨頂が発揮されたライブは、12月30日(木)0:00から2022年1月4日(火)までアーカイブ配信も行う。バンドサウンドによって印象を変えた楽曲たちや、普段とは異なる雰囲気の会場で行われたライブの模様を年末年始に楽しみたい。