昨今、アニメや吹き替えといった場所以外でも声優の活躍を目の当たりにする機会は多い。その筆頭が下野紘だろう。これまでも多くの人気作でキャラクターに命を吹き込んできた下野だが、キャストに名を連ねるアニメ「鬼滅の刃」や「進撃の巨人」の大ヒットも相まって、「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBS系)や「VS魂」(フジテレビ系)といった人気バラエティーにも多く出演。番組やCMのナレーションでもその声を耳にする機会が激増した。そんな下野が、原点のアニメで新境地を開く「殺し愛」が放送中(毎週水曜深夜0:00-ほか、TOKYO MXほか)だ。演じるのは、ヒロイン・シャトーに執着する正体不明の殺し屋、ソン・リャンハ。難役に挑戦する下野にアフレコの裏側を直撃するとともに、「慌ただしかった」という2021年を振り返ってもらった。
――下野さんは「殺し愛」という作品の面白さをどこに感じましたか?
下野:リャンハとシャトー、男女2人が殺し合いをしている中でリャンハが唐突にナンパを仕掛け、2人の交流が始まっていくという展開も変わっていますし、その後の関係性も変わっていますよね。冒頭だけ見て「ラブコメなのかな」と思っていたのですが、そういう作品でもなく。まさに“ラブサスペンス”といった内容になっています。2人の今後も謎めいていますし、2人を取り巻く環境も謎めいていますし、とにかく謎が多過ぎる(笑)。あちこちに散らばった謎が、最終的にどこへ向かっていくのか…というところも見どころだと思います。
――監督が「モノローグがなく、セリフが少ない作品」というコメントを出されていましたが、声優さんにとっては難しい作品ですね。
下野:大変です(笑)。大変ですが、やりがいのある作品です。“さじ加減”という言葉がぴったりですね。出し過ぎてもいけないし、出さな過ぎてもいけない。ちょうどいい塩梅を演じていかなきゃいけないんですね。リャンハは凄腕の殺し屋なのですが、強いキャラクターって戦闘シーンではあまり声を出さないんです。「ウッ」「ハッ」といった息遣いも基本的には出さない。僕はどちらかというと戦闘シーンでどんどん息を入れていくキャラクターを演じさせていただくことが多く、クセで「フッ」とか言いそうになるところを我慢しなければならなくて。「ここはダメージを受けているよね? でもどれくらいの強さで入れるべき?」と、さじ加減を画面からくみ取らなければならない難しさがあります。
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