——今や多くの声優がSNSアカウントを持ち、情報発信をすることが当たり前になっています。仲村さんもTwitterやInstagramをやっていますが、発信する際の決めごとはありますか?
SNSだけじゃなくバラエティ番組やラジオでもそうですけど、僕は同じことをしたくないんですよ。生配信もラジオもあると、どちらでも同じ話をしてファンの方に「じゃあ片方だけ聴けばいいや」と思われちゃうのは、もったいない気がして。自分が携わるのであれば、番組ごとにトークの内容を変えたい。
Twitterは一つのエンタメだと思っていますが、僕にとって最大の宣伝ツールでもあります。関わってきた作品を伝えたいという意識が根底にありますが、今の時代はユーモアがあったほうが受け入れられやすい気がして。気付いたらそっちがメインになり、ずっとふざけていました(笑)。一方でネガティブやマイナスな発言はしないということは、心掛けています。
——ツイートで愚痴ったりする人も世の中には多いですが、それはやらないと。
SNS…というかインターネットって、むちゃくちゃセンシティブなコンテンツだと思うんです。使い方を一つ間違えれば大犯罪にもなり得るし、すごく面白いものにも変化する。簡単に世界とつながるメリットとデメリットを、さらにしっかり授業で扱っていいと思うくらいです。今や小学生だってスマホを持てちゃうし、なんなら親が心配して渡しますよね。自分が発信していることは必ず誰かに見られているし、データに残ることなんだと知っておいたほうがいい。インターネットが日常にない時代から進化の過程を見てきたからこそ、その怖さがすごく分かるんです。
Twitterは、書いたものを必ず読み返してからツイートしています。見た人に、クスッとしてほしいんですよね。日常の中でネットや現実に疲れている人がたくさんいるから、仲村宗悟のTwitterにポンと飛んだら「笑っちゃうな」「ホッとしたな」「くだらないなコイツ」と思ってもらえたらいいなと。
——そうしてエンタメとして気を付けていても、思いもよらない受け取り方をされてしまうことはありますか?
いっぱいありますよ。大半の人は、言いたいことを受け止めてくれていると思う。それは僕も分かっています。
SNSをやっていて「目の前のことしか見えていない人が多いな」と、すごく感じます。言われたことに対して流せない。思ってもないよう受け取り方をされたら、僕は「この人にはこう捉えられてしまったんだな」と受け流します。自分の感情をうまく逃がすやり方を心得ていたほうが、絶対にいいと思うんです。
「そうじゃない、俺はこう言いたかったんだ」と発信する人もいますが、僕はしないし、自分はそれでいいと思う。直接話せる人で、誤解を解きたいと思ったら話し合いますが、Twitter上で討論はしませんね。
——誤解を100%免れることはほぼ不可能な中で、発信することに関して、怖いと思ったことは?
常に思っていますよ、僕は。発信することは、怖いことです。自分の思考を書いたり話したりすることは、その考えが人に移るということですから。何気ない発信や行動で、それを見た人の先々の何かを変えてしまうかもしれない怖さもあるし。だから発信する際は、いろんなことを考えます。
——その怖さやリスクを乗り越えて、それでも発信するモチベーションはどこからくるのでしょうか?
声優をしていなかったら、僕は絶対Twitterをやっていません。でも僕の職業は起用してもらって仕事ができるから、恩返しじゃないですけど、関わった大好きな作品たちを少しでも多くの人に知っていただきたい。それがモチベーションですね。
自分の発したことが100人中100人に正しく受け止められることはないけど、Twitterは宣伝ツールだから、その宣伝をよりたくさんの人に見てもらうために、少しでも面白いものにしたいと思ってやっています。だからこそ僕のTwitterはポジティブでありたいし、楽しいものにしたいんです。
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