もはや説明不要のアニメシリーズ、「機動戦士ガンダム」40周年を記念したプロジェクトの一環として、2019年に上演された舞台「機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build」。アニメやゲーム、マンガなどを原作とした“2.5次元舞台”が既に演劇の一ジャンルとして確立していた当時でも、「ガンダムを舞台化する」という初の試みは大きな驚きをもって迎えられた。かくして開幕した舞台では、モビルスーツのセットや映像をあえて登場させず、コクピットを模した装置を縦横無尽に動かすことで激しい戦闘シーンを再現。観客にモビルスーツを“想像させる”という手法で、ガンダムマイスターたちの苦悩や「機動戦士ガンダム00」という物語の深淵を見事に描き出した。
そして、初の舞台化から約3年。続編となる舞台「機動戦士ガンダム00 -破壊による覚醒-Re:(in)novation」が2月7日(月)に幕を開ける。引き続き主人公の刹那・F・セイエイを演じる橋本祥平に、“ガンダムの舞台化”をへて得たものや、続編への意気込みを聞いた。
――まずは2019年に上演された前作を振り返ってのお話をうかがいます。“ガンダムを舞台化する”というお話を最初に聞いたときは、どのように感じましたか?
橋本:多分、皆さんと同じ反応でした。これまでいろんなマンガやアニメが舞台化されてきましたけど、さすがにガンダムは無理なんじゃないかって思いましたよね(笑)。でも、演劇というものは本当に奥が深くて、いろいろな表現方法があるんだなと改めて感じた舞台でした。目に見えるものが全てじゃなくて、「お客さんにはちゃんと見えている」と思える舞台になったので、やっていて面白かったです。
――舞台はどのように作り上げていったのでしょうか?
橋本:“破壊による再生”というサブタイトル通りの作品だったな、という印象ですね。ガンダムの舞台化なんて、誰もどうなるか分からない、未知の領域じゃないですか。最初にある程度形を作ってから、それをブラッシュアップしていくのがオーソドックスな舞台の作り方だと思うんですけど、この作品では稽古のたびに毎回違う感情が生まれて、毎日やっては壊しの繰り返し。最後の方にやっと「これで行こう!」という確信が得られたので、自信を持って舞台に上がることができました。
――自信を得るまでには、さまざまな苦労もあったのでは?
橋本:テロや戦争…今この時代の日本で暮らしている僕がどうしたって経験できないことを演じるにあたって、どれだけ刹那の気持ちになれるか、入り込めるかというところが自分との勝負でした。それに、前作ではガンダムもモビルスーツも一切登場せず、お客さんの想像に委ねたんです。それはすごい挑戦だなと思ったし、相応の覚悟で臨んだんですけど、一方で刹那にとってのガンダムは特別なもの。ガンダムが出てこない舞台でどうやったらそれが伝わるのか、というのはめちゃくちゃ考えました。
――ガンダムそのものを出さず、コクピットにフォーカスすることで“ガンダムがいないのに見える”というのは、演劇ならではの表現方法でした。
橋本:ガンダムを出さない演出は最初から決まっていました。前例がないことに挑戦させていただくというのはすごいことだな、というのは当時から感じていましたね。とにかく原作が素晴らしいので、舞台をやるからには納得できるものを作りたい、あの感動を舞台でもお届けしたい、という思いで挑ませていただきました。ただ、戦争という非常にデリケートな題材なので、そこは繊細に、丁寧に作っていきました。それから、ガンダムマイスターが4人揃った時の見え方も苦戦した記憶があります。
――舞台は原作アニメーションを手掛けた水島精二監督が監修を担当し、オリジナルの要素も取り入れられました。
橋本:オリジナリティーを楽しめるのは、舞台ならではだと思います。前作では水島監督がほぼ毎日稽古場に来てくださって、僕たちが迷っているときに手を差し伸べてくれたり、お話を聞いてくれたりしてくれて、一緒に話し合いながら舞台を作り上げて行きました。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)