――今ではバラエティー番組に引っ張りだこですが、最初の頃は苦戦していた部分も?
ずっと苦戦していたんですが、あるとき、アドバイスをいただいたんです。「周りにバラエティー番組で大活躍されている方がいっぱいいるから、私が何かしなきゃ、と思うこと自体がまずおこがましい。とにかく目の前で起きていることを楽しんで、自分で思ったことをふざけないで真面目に言えば、周りの人が助けてくれて、面白くしてくれるから、とにかく真面目に臨め」と。“真面目に臨む”って自分としては得意だぞ!と思って、それを心掛けるようになってから、私が何でも本気で言うものですから、それをMCの芸人さんが面白がってイジってくださる、というような機会が増えていったように思います。
――なるほど、その構図が面白いんですね!
私は面白いことをやってるつもりはないんです。思ったことを言っているんですけど、切り取り方とか視点がちょっとズレているようで、それを真面目に言うから、ツッコんでいただくと面白くなる、っていう場面が多いんですよね。決して私がバラエティーに向いているとか、そういうことじゃないんですよ(笑)。
――いろんな番組に出演されている今、課題にしていることは?
私、どうやら興味があることと、ないことに対しての熱が顔に出るようで…。言い訳になりますけど、それも真面目に取り組んでいるがゆえなんですよ。でも、テレビってそういうことじゃないよね、と思い始めまして。興味がないことでも、すごく考えていけば絶対興味が沸くと思うんですよね。例えば(と、取材中テーブルに用意されていた飲み物を手に取り)抹茶ラテはあまり好みじゃないと思っても、抹茶は好きだから「どこの抹茶を使っているんだろう」とか、軽く分析して、自分の興味のあるものを見つけ出して、そこで迫って真剣に取り組めば、全部興味あることになるはず。今後、その訓練をしていかなきゃって思っています。
――バラエティー番組でも、“伝える”というお仕事ではあると思います。コメントやお話しをするときに心がけていることはありますか?
NHKのアナウンサーは“半分ジャーナリストだ”っていう認識を教わるんです。現実としてそれができていないんですけど、その精神だけはずっと持っていたいなと思っているので、バラエティー番組に臨むときも“私は半分ジャーナリストだ”と思いながら椅子に座っています。だから、嘘をつかず、本当のことを忠実に伝える、ということはいつも心掛けています。それがその場にそぐわない場合もありますし、そのことに気付けなくて、レールから外れてしまうこともあるんですけど、でも私にはそれしかないので、思ったことをちゃんと言おうと思っています。
――昨年末に放送された「しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレビ朝日系)はかなり話題を呼びましたね。
番組に呼んでいただいて、今回初めて「自分はしくじっているんだ」ということが分かったんです。打ち合わせのときに、私から「これをしくじりました」という話をするわけではなくて、昔の出来事をお話しさせていただく中で、制作さんが「あ、それしくじりですね」って。「これがこうなっちゃったから、しくじってます」って言われて、「あ、私そんなにしくじってるんだ」と気付くんです(笑)。
――そうなんですか! では、オファーが来たときは驚きましたか?
漢字の読み間違いで「『しくじり先生』、どうですか?」というお話しをいただいたんですが、人気番組ですし、たくさんアナウンサーがいる中で、漢字の読み間違いだけで私を選んでいただけたなんて、ありがたいなと思いました。そうして打ち合わせをしましたら、漢字の読み間違いどころじゃないな、みたいなことがいっぱい出てきて(笑)。6時間ぐらい打合せしてくださって、丁寧に教科書にして、面白いところを編集してつないでくださったんです。本当によくできた、すばらしい番組だなと思いましたね。
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