神田愛花、理詰めと真面目さが生んだバラエティーでの“愛され力” 「私としてはとにかく本気で臨んでいるだけ」【連載:Museの素顔 #5】

アナウンサーの先輩から教えられた“放送の重み”


一問一問、分かりやすく丁寧に話をしてくれた神田アナ。その姿勢はまさに“真面目”そのものだ 撮影=岡田健

——では最後に、言葉を生業にするアナウンサーということにちなみ、「仕事で大切にしている言葉」、「誰かに言われた心に残っている言葉」、「好きな言葉」、この3つを教えていただけますか?

仕事で大事にしている言葉:真実

何でもかんでも本当のことを言えばいいということではないんですが、例えば、コメンテーターの仕事で、誰かに対して「私は、それは違うと思うんです」と言うとき、その方にもご家族がいらっしゃいますし、自分のようなものが言うのはおこがましいんですけれど、でも言うのが仕事なので、きちんと言葉を選びながら、相手を傷つけずに本音を言う、ということは本当に大事にしてます

誰かに言われた心に残っている言葉: 君にとっては何百回のうちの1回でも、その人にとっては一生のうちの1回だよ

NHKのアナウンサーの先輩に言われた言葉です。私からしてみたら、テレビに出ている回数ってトータルで言うと何百回とあると思うんですけど、地元の方にお話を聞くとき、「この方にとっては、テレビに映るのは一生のうちの1回かもしれない。だからこの方が『今日、出てよかった』と思えるような仕事を現場でしよう」と。バラエティー番組でも、例えば、見ていた子供が私の発言に影響を受けて夢を持つとか、逆に傷つくことだってあるわけですよね。先輩からこの言葉を言われたとき、放送の重みと言いますか、自分にとっては仕事の一つだけれども、「そうじゃないんだ」と感じて、すごく重かったです。

好きな言葉:芍薬(しゃくやく)

私が目指しているものと言いますか、芍薬のような存在でありたい、と思っているんです。花はあんなに大きくボンッと咲いて華やかで、それを支える茎はしっかりとしていて、まっすぐでブレない。すごく強くて、きれいなお花ですよね。

神田愛花 撮影=岡田健

神田愛花 プロフィール

かんだ・あいか=1980年5月29日生まれ、東京都出身。O型。2003年にNHKにアナウンサーとして入局し、2012年4月からフリーに。NHK時代は「爆笑オンエアバトル」の司会などを担当。フリーになってからは「めざにゅ~」(フジテレビ系)のメインキャスターを担当。現在は司会進行やコメンテーターなど様々な番組で活躍している。

交流のある同事務所所属のアナウンサーは「後輩の馬場ももこちゃん。馬場ちゃんとはご飯にも一緒に行きますし、本当に真面目でいい子。昨年「芸能人が本気で考えた!ドッキリGP」(フジテレビ系、2021年10月23日放送分)でドッキリを仕掛けるのも心苦しかったんです。でも、馬場ちゃんがドッキリだと分かったときの表情を見たい、というスタッフさんの熱意が本当にすごくて。『馬場ちゃん、こんな愛されてるんだ~』と思いまして、それなら真剣にダマさなきゃ、と。(連載#3川田裕美アナウンサーが「LINEで連絡を取り合っている。いいお姉さん」と言っていたことをお伝えすると)いやいや、その逆で私の方が助けてもらっています。でも、うれしいです。現場に川田ちゃんがいると、自由にできるんです。トーク番組でも、私が本題から逸れてしまっても、川田ちゃんはちゃんと台本が頭に入っていて「このお話はこういうアレでしたよね」って上手に面白く言いながら戻してくれるんです。だから川田ちゃんがいると私はすごく気が楽ですし、すごく安心しています!」

取材・文=四戸咲子