放送作家・オークラ「書くたびにどんどん思い出しちゃって…」担当編集が明かす著書執筆の裏側

2022/02/08 18:00 配信

バラエティー インタビュー 独占

オークラ ※提供写真

バナナマンや東京03らと深い関わりをもつ放送作家・オークラが、昨年12月に著書「自意識とコメディの日々」(太田出版)を出版した。同書は、お笑いコンビとしてデビューしたものの、己の限界を知り作家に転身。バナナマン、東京03、おぎやはぎ、ラーメンズらと出会い、数々のコントなどを生み出してきたオークラのお笑い自伝となっている。担当編集者の続木順平氏は、オークラが著書執筆にあたり、「書くたびにどんどん思い出しちゃって(書くのが)やめられない」と言っていたことを明かす。また、オークラのすごさとして、「“作品を面白くしたい”という志の高さ」を挙げた。

あまりに正確で鮮明だった、オークラが語る「90年代後半のお笑いシーン」


――本書は「Quick Japan」での連載がもとになっていますが、改めて連載スタートの経緯をお聞かせください。

そもそもは2015年に「Quick Japan」でバカリズムさんの特集があった時に、「バカリズムがブレイクした道のり」についてオークラさんを取材したのがきっかけでした。1995年に初めて当時コンビ時代のバカリズムを見た時の衝撃から、テレビでの「ボキャブラ」「爆笑オンエアバトル」「エンタの神様」など、当時求められていたテレビのお笑いとバカリズムの生み出すシステムの笑いとの相性について、裏側では何が起こっていたのかを事細かにお話をしてくださったんです。その時、紙にブワーッと時系列に出来事を書いて説明してくださった内容があまりに正確で鮮明で、「あれ?90年代後半のお笑いシーンについて主観も客観も入れて語れる人ってオークラさんしかいないのでは?」と、連載をお願いしたいと思うようになっていました。

タイトル「20代芸人A君は笑いで天下がとれるのか?」で連載スタート


連載については相談をしながら2016年、「20代芸人A君は笑いで天下がとれるのか?」というタイトルでスタートしました。そのままですが、今この時代のお笑い界で若手芸人が天下をとろうとするならば、どのような立ち回りをすれば実現できるのか、オークラさんなりに見てきたもので「お笑い指南本」を作ってみようというものでした。

しかし連載を進めるうちに「今の時代で言う“天下”って何なんだ?」という、テレビだけではない活躍の舞台が多く登場し、“それぞれの分野で好きなことをするのがいい”というムードに入っていきました。次第に本筋とは違うオークラさんのエピソードトークのほうが面白くなってきたので、オークラさんの人生を書いていれば何かが見えてくるかもと、関わってきた人たちとのお話を書いていただくようになり、今の本に近いかたちに変化していきました。