福本莉子×松田元太で映画化「君が落とした青空」原作者が語るティーンへの想い「子どもを見くびるような話にはしない」

映画「君が落とした青空」キャストビジュアル (C)2022 映画『君が落とした青空』製作委員会

福本莉子と松田元太(Travis Japan/ジャニーズJr.)がダブル主演を務める映画「君が落とした青空」が、2月18日(金)に全国公開された。主人公の女子高生・実結(福本)が、交通事故に遭った恋人・修弥(松田)を助けるため何度もタイムリープを繰り返す中で、修弥が隠していた秘密を知るという感動のラブストーリーだ。

本作の原作は櫻いいよ氏による同名小説「君が落とした青空」(スターツ出版)。女子中高生ユーザーを対象としたケータイ小説アプリ「野いちご」内で2010年に発表され人気を集め、2012年に刊行された書籍は累計20万部を突破している。このたび、WEBザテレビジョンでは原作者の櫻いいよ氏、担当編集の森上舞子氏にインタビュー。作品について、また今回の映画化について聞いた。

原作者・櫻いいよ氏「子どもを見くびるようなお話にはしない」

「君が落とした青空」書影 (C)スターツ出版


――「君が落とした青空」は、元々どのようなきっかけで着想を得ましたか?

小説を書き始める前に漫画を描いていたのですが、その頃から漠然とこの話のイメージ(恋人が死ぬ日を繰り返すという設定と、結末のシーン)があり、いつか書きたいなと思っていました。その後、小説を執筆し始め、「ケータイ小説大賞」に参加するために「このお話を完成させよう」と書き始めました。当時身近な人の死に触れたことも関係しているかもしれません。それまで心にとどめていたいろんなメモが、あの瞬間にうまくかみ合った感じです。

[B――恋人を事故で失う1日をタイムリープする主人公が、繰り返しの中で自分の本当の気持ちと、恋人の自分への想いに気づき、自らの変化によって未来を変えていくストーリーに胸を打たれました。本作に込めたメッセージを教えてください。

あまり事前にテーマやメッセージは考えてなくて、書き上がってから「こういう話なのかも」と考えたり、読んでくださった方の感想で自分が気づくことも多いです。ありがたいです。

ただ、「実際には絶対に時間は戻らない」ということは意識していたと思います。「だから後悔のない日々を過ごしましょう」というよりも、後々後悔しそうなことを少しでも拾い集めることができれば、ちょっとした行動で少しでも笑顔のある今日を作れるんじゃないか。振り返ってみるとそんなテーマだったかも。いや、後付けかもですが…。

――櫻先生はティーンエイジャーをメインターゲットとした作品を多数手掛けられていますが、10代の読者に物語を届ける上で、心がけていることや注意していることがあれば教えてください。

「主人公たち(子ども)を見くびるようなお話にはしないように」と意識しています。ときにアドバイスをする大人が出てくることもありますが、それでも大人が偉くて正しい存在にはならないようには気をつけています。学生が主人公のお話だけではなく、全てのお話に対してですが、私は主人公たちの味方で、彼らを肯定する存在でいたいなと。

あとは、自分の学生時代の日々を思い出しながら書いていると、どこかに古さが漂ってしまいそうな気がするので、できるだけ調べたりぼかしたりして、時代が匂わないように頑張ってます(笑)

「原作を知っている人にも、知らない人にも、この映画が届きますように」


――主人公である実結と恋人の修弥、それぞれのキャラクター造形で心がけた点と、キャスティングが福本莉子さん・松田元太さんに決まった際の感想を教えてください。

キャラクターは、できるだけヒーローやヒロイン感がない、クラスにいそうな子。私のイメージする等身大の子たちにしようというのは決めていました。

そんなふたりを福本さんと松田さんという華やかなおふたりが演じてくださるとわかったときは、「すごい、うれしい」と思いつつ、ぽかーんとしていました。当初は、映画化をまだ信じられない気持ちで、私の作品のことではなく、知っている小説や漫画が実写化される話を聞いているような感覚でした。…いや、今もまだなんか、不思議な感じがあります。当時よりも今の方が「あんなにも素敵な方々が!」と興奮しています。

――映画「君が落とした青空」試写はいかがでしたか。

すごく素敵な映画でした。原作を知っていて、脚本も読ませていただいた上で映画を観る、というのは初めてだったのですが、魅入ってしまいました。福本さんと松田さんのシーンは、もどかしさとかわいらしさがあって、だからこそ事故のシーンは切なくなって……。

原作と設定が違うキャラや、映画オリジナルのキャラもいますが、原作とは違う設定だからうまれたシーンが本当に大好きで、担当さんに「あそこが好き」「あれは最高」と何度も語っています。いや、本当にいいシーンでした……。観てくれた方と、そこのシーンについてはやく語りたいです。

原作を知っている人にも、知らない人にも、この映画が届きますようにと、最近はそればかり考えています。