――これまで書いてきたドラマと、今作「となりのチカラ」はどのような違いがありますか?
これまでは強い女性が、問題に対しインパクトのある方法で解決していくことが多かったんです。でも今作は、中腰の男なので、ソフトの物しか与えないし、与えられないというのが大きな違いでしょうか。作中のナレーションでも出てきたと思うのですが、「(チカラには)鮮やかに解決する力はない」と。
書く側からしたら、チカラくんのようなキャラクターを書く方が難しいんです。鮮やかにインパクトを残した方が簡単なんですが、そういったものを残さずに見ている人がカタルシスを感じるというのはどういうものなんだろうというのに、前半部分を書いている時は悩みながら書いたことを覚えています。
――また「今」と「昔」のドラマ制作において、遊川さん自身が感じた変化は?
昔より人目を気にして作っているという感覚が強いです。打ち合わせでも皆さん、すぐに「これダメですね」とおっしゃるんです。逆に昔のように「自由に冒険的にやりましょう!」という人って今、いるのかな。めちゃくちゃなことをやろうとする機会は減ったことが一番大きな変化だと思います。昔は、めちゃくちゃ自由で、だからこそ面白いこともあったんです。
主人公が何とかしてくれるという「安心理論」でドラマが作られていることが普通だと思っている人が多いのですが、僕はあえてその風潮に乗らずに、大勢の人ではなく、ドラマを見てくれた中の一握りでもいいから誰かの心に刺さるようなチャレンジある作品を作るようにしています。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)