――凛を演じる上で、どういった部分にこだわっているのでしょうか。
このドラマでは、表情で表現するシーンが多くて。でも、岡田さんの台本には、登場人物にせりふがない場面でもカッコで感情が書かれているんです。例えば“(慎吾やっぱりいい奴だな…と思って)”とか。
なので、岡田さんからの“今こういう気持ちでいてほしい”という思いを受けて、表現しています。どの程度感情を出すのかというのは、監督と現場で話し合いながら決めていますね。
――では、事前に作り込んでから現場に向かうのではなく、その場で演じ方を決めていくことが多いのですか?
そうですね、家で作り込んでしまうと演技に硬さが出てしまうかなと思っていて。なので、凛がどういう女の子なのか、気持ちなのか、分からないことは質問しながら演じています。
――凛は花枝に対して姉御キャラですが、藤原さんご自身はいかがですか?
全然姉御キャラではないんですけど、果耶ちゃんと一緒にいると少し年上感を出してるかも(笑)。果耶ちゃんってすごく不思議な女の子で、大人っぽくてしっかりしている面もあるんですけど、妹っぽいかわいらしい一面もあって。なので、果耶ちゃんと一緒にいると、“しっかりせんと!”と思ってグミをあげたりします(笑)。
――魅力的な声の印象に引っ張られて、少しクールな印象がありました。
あ~…全然クールじゃないです(笑)。
――和やかな現場だとお伺いしていますが、大変だったシーンはありますか?
撮影中、音響の問題で暖房を消すので凛が働く理髪店「バーバーサッコ」が寒いんです。最初は半袖で演技をしていて、店長役の戸次(重幸)さんにも「もう無理です~!」と話していたら、戸次さんが衣装部の方に「さくらちゃんにもうちょっと(暖かい服を)着せてあげてください」とお願いしてくださって、私は暖かい服を着られるようになったんです。
でも、戸次さんだけまだ寒そうで…。最終話までに戸次さんを“救いたい!”って思っています(笑)。
――ちなみに、「ファイトソング」でもそうであるように、恋愛においてどちらかが好意を抱いていても、もう一方は友達だと思っているというのは“あるある”ですが、男女の友情は成立すると思いますか?
(即答して)全然成立すると思います。私にも男の子の幼なじみがいて、小さい頃からずっと一緒に遊んでいますが、お互い恋愛対象として見たことがなくて。もちろん大切な存在ですけどね。
――そういった実体験があるからこそ、凛や慎吾、花枝のように男女を超えてなんでも語り合える三人の関係性が理解できるし、演じやすい部分もあるのでしょうか?
そうですね。すごく理解できるし、好きだったらつらいだろうなという気持ちも分かります。だって、絶対にこの関係性を壊したくないじゃないですか。
――全員が大切だからこそ、全員が踏み込めない…少しもどかしさも感じてしまいます。
凛がそうであるように、慎吾の花枝に対する気持ちも全く同じだと思うんです。この歳まで“結婚しようぜ”ってふざけてしか言えてなかったわけですし。
キャンプで凛が慎吾に対して「あるもの壊さなきゃ、先になんて進めないよ」と言ったシーンがあるんですけど、全部ブーメランなんですよ(笑)。凛は慎吾に対して説教していますが、“じゃあ、自分は?”って誰か凛に聞いてあげて、と思います。
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