また、伊藤はオファーを受けた時にも「そうじゃない!」と感じたという。
「40代半ばになって、人生の中でもいろんな別れがあり、結婚し、人生を見つめ直して、もう一度気持ちを切り替えて役者に臨まなければと思っていた矢先に、18年ぶりに平野さんから『英明くん、一緒に作品をやろう』と。しかも主演でというお話をいただきました」と、出演への経緯を語り始める。
「もしかしたら世界に通用するアクションスパイものなのか? 賞レースに参加するような時代劇なのか? 果たして自分にできるのか? という葛藤がありました。作品は何と聞いたら、『KAPPEI』って言うんです。名前がタイトルになるって怪しくないか?と思っていたところ、ビジュアルを見たら『デトロイト・メタル・シティ』の若杉先生の作品だったんです。自分も若杉先生の作品は好きですけど、『これじゃないよ』って感覚でした(笑)」と、思っていた作品とのイメージのギャップに唖然とした様子を伝えた。
その時の心境を、「4歳のクリスマスの時に『銀河鉄道999』の汽車をサンタさんにお願いしたんですが、朝起きたら“777”っていうリニアモーターカーに似た白い列車が置いてありました。次の年、“ゴールドライタン”というゴールドのライターがロボットに変形するおもちゃをサンタさんにお願いしたんですが、次の朝、タイムライタンが置いてあって、ねじったらタイマーになるんですけど、ねじり方が分からなくて初日に折ってしまい、『これじゃなかったんだ』って…。そんなことを思い出させてくれる作品に出会えて、僕は幸せ者だと思っています(笑)」と、幼い時の思い出を例え話にして、会場を和ませた。
映画「KAPPEI カッペイ」は3月18日(金)より全国公開。
◆取材・文=田中隆信
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