2022/03/07 06:00 配信
ライブも中盤となる中、披露されたのは“Blue Summer”。茂木が佐藤のデモを初めて聴いたのはこの曲だったという逸話も残るバンド史においても重要な曲だが、同時にこの日のセットリストで最も強烈にダブを感じさせる。ネットリとした濃密なグルーヴは、炎天下の野外で聴きたくなるような心地よさ。
演奏後茂木は、「フィッシュマンズを結成する時にサトちゃんがこの曲のデモテープを持ってきてくれて。僕はそれを聴いて、『日本にこんなすごい人いるんだ!』って思って一発でノックアウトされてしまって。
それからすごい時が流れてますけど、この曲を2022年3月に演奏してもものすごく心を持っていかれるし、やっぱりすごい出会いだったんだなと。今日こうやって最高の仲間と演奏できて、みんなが集まってくれているのがすごく幸せだし、ずっとこの音楽を届けて続けたいという気持ちになってます」と決意を新たに。
さらに、「“Blue Summer”とかをやってて思ったのは、今回“1991-1994”と“1995-1998”と2DAYS作ったんだけど、フィッシュマンズにはデビューまでの4年間があるんで、“HISTORY Of Fishmans”La.mama編をやりたいなと思って。それこそ会場は(かつて頻繁に出演していた渋谷のライブハウス)La.mamaで」と茂木が提案すると、観客から大きな拍手が上がった。
そこからバンド結成の場である明治学院大学のサークル「ソングライツ」についてトークする中で、茂木が「(柏原の)ベースのフレーズですぐわかりますからね。何でも反応します」と豪語すると、柏原がおもむろにベースラインを奏でだす。それにすかさず茂木やメンバーが反応し、バンド初期のレパートリーにして未発売曲である“HAPPY MAN”をセッションするまさかの展開に。
ひとしきり演奏を終えたところで、茂木が「ソングライツの大ヒット曲! (サークルの部員なら)全員歌えます」と言えば、柏原も「ヤーヤーヤー♪ってところは、ミッシェルのチバ(※ソングライツの後輩である元・THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、現・The Birthdayのチバユウスケ)とかも歌える」と返し、一同の笑いを誘う。
「またみんなで、気合い入れてスタジオ入りましょうよ」(茂木)と言えば、「深夜パックで。ご飯は300円以内でね」(木暮)と返すなど、学生時代のバンド活動を思い起こした会話にメンバーが花を咲かせる場面も。いわゆる“サークルバンド”が30年以上の時を経ても色褪せない楽曲を数多く生み出し、愛され続けている奇跡を強く感じさせた。
その後、茂木が「大ヒットすると思ったあの曲」にまつわるエピソードを語り出すと、普段笑顔を絶やさない茂木が珍しく毒づいてみせ観客を笑わせる。それを聞いた柏原から「悪キンちゃんが出てきた」とイジられると、茂木からは「ずっといいヤツでいられないっちゅうの!」と思わず本音が飛び出すなど、トークは大いに盛り上がった。
そして、「大ヒットの話もしたんで(笑)、大ヒット予定だったあの曲をちょっとだけやってもいいですか?」と“100ミリちょっとの”へ。ほぼ一番だけのコンパクトな演奏ながらも、ポップに振りきったこの曲の持つキャッチーさは幅広い世代の琴線にも触れるものだった。
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