植田雅、芝居を始めたきっかけは「新しい挑戦のつもりでやってみたら、ハマってしまいました」

2022/03/15 06:30 配信

映画

「階段の先には踊り場がある」キービジュアル ※提供写真

――先輩と多部ちゃんとのシーンが多かったですけど、待ち時間にそれぞれのキャラについて話しましたか?

みんなで「先輩ズルいよね」という話は常にしていました。でも、このシーンをどういうふうにやろうとか演技論のようなものはなく、リハーサルから本番に入ったらそれぞれのやりたいようにやって、うまくかみ合ったので、この3人は息が合っていたのかもしれません。

――会話劇なのでテンポ感が合うのは大切ですね。

すり合わせたり、練習したりはあまりせず、各々の思うキャラをそれぞれ演じたら、不思議とかみ合ったんですよ。私はこういうふうにやろうって少し準備していたんですけど、先輩や多部ちゃん、その他の相手役の人と対峙(たいじ)すると、その人のエネルギーにうまく押されてゆっこになれたんです。自分がどうしたい、という気持ちより、相手を受け入れたい気持ちの方が大きかったので、かみ合うことができました。

――同時進行で進んでいるように見えて時間軸が微妙に違うところも面白いですね。

そうですね。1回見て理解できない方は、もう1回見て確認してほしいですね。

――それで言うと、滝さん(細川岳)と港さん(朝木ちひろ)の関係はどう見ていました?

こういう人たち、いるなってすごく思いました。私はまだ経験したことがない内容ですけど、どこにでもいる男女2人の雰囲気だったり、会話の内容だったり、とてもリアルだなって思いました。大人はこういうふうに喧嘩に発展するんですね(笑)。

――会話劇ということで意識したことは?

脚本を読んで、ここは笑えるシーンだとか、これは笑いを狙っているせりふだなとか、思ったんですけど、逆にどうやって笑わせようかと考え過ぎちゃうと、見ている方も冷めちゃうのかなと思ったので、何も考えずゆっことしてせりふを言うようにしていました。客観視せず、言いたいことを言うように。

――監督の演出で印象に残っていることは?

台本には簡潔にト書きで書かれていたので、実際どういう演出になるんだろうといろいろ考えていたんですけど、現場に私がゆっことしている状態で、「ここでこうしてみて」などと、台本に載っていないことをポンポン言われました。

でも、私にとってはそのやり方がやりやすかったです。事前に考え過ぎるよりは、ゆっことしているときに「こうしてみて」って指示された方がイメージもしやすいので。この作品は日常のリアルを切り取ったものなので、木村監督のように現場で演出するというやり方の方が、出演者側としてはやりやすかったのかなと思いました。

――大学生だけでなく、数年後のゆっこも出てきますが、大人のゆっこについてはどうでしたか?

大人に成長したゆっこをどのように表現しようと思ったんですけど、もともと大学時代のゆっこは服装やメークもナチュラルですし、せりふも等身大だったので、あまり自分から大人っぽくしようとは意識せず、メークさんや衣装さんの力に助けていただきました(笑)。

――ゆっこもそうですが、植田さんもダンス経験者。ダンスをやっていたことが、今の仕事にも生きていますか?

この作品のダンスはコンテンポラリーで、私がもともとやっていたのはヒップホップやストリート系なので、同じダンスとはいっても全然違って難しかったです(笑)。

もともと小さい頃は人見知りで、人前に立つのが苦手だったんですけど、ダンスっていろいろな人の前で大きなステージで踊りますよね。おかげで人前に立つ事に慣れましたので、それは今の仕事に生きています。

――人見知りなのに、なぜやろうと?

最初はそれこそ「人見知りを解消する」という理由で、母の勧めで週に1回ダンススクールに通わせてもらいました。でも、自分でもだんだんハマってきて、高校生になってからは本格的にやりたいと思うようになり、福岡のスクールに通いました。

おかげでダンスという表現があれば、人前に立つことも問題なくなりました。ただ、お芝居やダンスなどではなく、学校の授業などで人前に立つのは今も苦手意識がありますね…。

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