Yomi Jahのボイスメールをサンプリングした「Skit」が流れ、ドレスに身を包んだAwichが再登場。アルバム『Queendom』のラストを飾る「44 Bars」でYomi Jahとの関係性と決意を歌い、「Let’s go Awich!」と自らを鼓舞。「子持ちの未亡人だってこんなところに立てるんだよ。だからなんだってできる。日本だけにとどまらず世界を目指す。そして日本でもヒップホップがもっとオーバーグラウンドになっていくように私が引っ張っていく。来年はアリーナでやります」という、力強い宣言に拍手が起こった。
「今日はこれまでの私の人生のゴールです。でもこれからの人生の出発点でもある。この神話の始まりの証人になってくれてありがとうございました!この曲もいつかみんなで大声で歌えることを私はあきらめない!」と言い「Love Me Up」。
最後の曲は、再び登場したYomi Jahがしなやかなダンスを披露し、愛娘と2人でパフォーマンスされた狂おしいラブソング「Bad Bad」だった。オーディエンスがAwichへのサプライズでそれぞれ手に持った1輪のバラを掲げているのが目に入り、感極まったAwichは「みんなにもっと大きな景色を見せるから」と固く約束し、濃密過ぎる約2時間の公演を締めた。
自らの半生を辿り未来への決意を吐露したところから始まり、ガールズパワー、CREW愛、地元愛、ヒップホップ愛、家族愛…深い傷と葛藤を抱きながらもあらゆる存在に愛とリスペクトを捧げ、オーディエンスの心を掴み続けた圧巻の武道館、新たなクイーンがそこにいた。
文=小松香里
※Yellow Bucksの「Y」は円記号