イチロー&KONAMIコラボ、担当者が語る舞台裏…コラボ実現に至ったイチローの“野球振興”への思いと「自分の評価は他人が決める」矜持

2022/04/11 08:00 配信

芸能一般 インタビュー 独占

イチローの能力データ決定の裏側「かなり意見が分かれた」イチロー専用の“特殊能力”も

イチローの「パワフルプロ野球」能力値 ※提供写真


――野球ゲームというと、やはり選手の能力データが特に気になるところです。イチローさんのゲームでの能力値はどのように決めていったのですか。

豊原浩司(「パワプロ2022」「プロスピ2021」リードプランナー):4月21日発売の「パワプロ2022」で言いますと、イチローさんの日本時代のデータを参考にしつつ、当時にはなかった特殊能力をつけたりなどの調整をしました。オリックス最終年の2000年に、日本時代の最高打率(.387)を記録したので、基本的には2000年のデータで再現しています。3月にアップデートを実施した「プロスピ2021」には2000年だけではなく、1994年のデータも搭載しているのですが、それは「(2000年にはしていなかった)振り子打法のモーションを再現したい」という思いがあったからです。なので「プロスピ2021」には1994年と2000年、2パターンを収録しています。

――特殊能力の「渾身の決勝打」(試合終盤、勝ち越しのランナーがいる場面で打席に立つとミート力が大幅に上がる)は今回、イチローさん用に新設されたものですね。

豊原:実はそもそも、「アベレージヒッター」(ヒット性の打球が出やすくなる)という特殊能力も、イチローさんがきっかけで生まれたんですよ。200安打を達成した1994年の翌年、「パワプロ」に初めてイチローさんが登場したんですが、その時に初めてつけられたものです。今回の「渾身の決勝打」は、1996年のリーグ優勝を決めたサヨナラツーベースや、2009年のWBC決勝戦の決勝タイムリーをイメージしてつくりました。なので1994年や2000年のデータを基本としつつも、メジャー時代も含めた他の年の印象的な場面も参考にしている形ですね。

――たしかにイチローさんは長年にわたって数多くの印象的なシーンがあるので、能力データを決める会議も大変そうですよね(笑)。

池本健二(「パワプロアプリ」制作チーム):「パワプロアプリ」でも、能力に関してはかなり意見が分かれました(笑)。また、選手データに関しては2000年を基本としているのですが、“よくテレビで見ていたイチローさん”というと、やはりオリックス時代よりもメジャー時代の印象が強いと思うので、打撃フォームはメジャー時代の見た目を再現しています。

「自分の評価は他人が決めるもの」イチローの矜持、ダルビッシュの“コラボ”にも「全然いいよ」

イチロー ※提供写真


――イチローさんの能力データというと、ダルビッシュ有投手が「『プロスピA』にイチローさんが初実装されるにあたってちょっと関わらせて頂きました」とTwitterで発言されていました。ダルビッシュ投手が制作過程に携わった経緯をお聞かせください。

清水香介(「プロスピA」アシスタントプロデューサー):「プロスピA」とダルビッシュ投手は、2年ほど前から様々なコラボレーションを実施させていただいております。その中のひとつに、ダルビッシュ投手が選んだ選手たちが「ダルビッシュセレクション」として「プロスピA」に登場する、という施策があるのですが、かねてよりダルビッシュ投手から「イチローさんをいつかダルビッシュセレクションで出したい」という熱い想いを伺っておりましたので、今回「ぜひ一緒にイチローさんの能力を考えませんか」との相談をさせていただいた次第です。ダルビッシュ投手には、イチローさんの能力の他にも写真の選定にも関わっていただくなど、多岐にわたって様々なアイディアを出していただいて大変参考になりました。

――能力データについて、イチローさんご本人の反応はいかがだったのでしょうか。

久保田:私がやり取りした中では、イチローさんとしては「自分の評価は他人が決めるもの」というお考えでした。なので、「『プロスピA』でダルビッシュさんと能力を決めても良いですか」というお話を、事務所をイチローさんに通して伺ったときも、「ダルビッシュがやるんだったら全然いいよ」というような反応でしたね。そういった部分からも、イチローさんは「自分の能力については口出しせずに、他人が決めるのもの」という基本スタンスをお持ちなのだなと感じました。

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