【テレビの開拓者たち / 遊川和彦】「ドラマは脚本が一番大事。“逃げ恥”にはやられた」

2017/04/29 11:00 配信

ドラマ

'87年に「うちの子にかぎって…スペシャルII」(TBS系)で脚本家としてデビューし、以来30年間、ほぼ毎年、話題のドラマを手がけてきた遊川和彦。もともとは映画監督志望で、ことし1月に公開された映画「恋妻家宮本(こいさいかみやもと)」では、念願の長編映画監督デビューを果たした。そんな遊川に第一線にいるドラマの作り手として今、考えていることを語ってもらった。

新しい挑戦をすれば新しい自分を発見して、そこからまた頑張れる


遊川は「『恋妻家宮本』は心地良い裏切り方しかしていないつもり」と明かす撮影=下田直樹


――映画「恋妻家宮本」には、ドラマ「女王の教室」('05年日本テレビ系)、「演歌の女王」、('07年日本テレビ系)、「偽装の夫婦」('15年日本テレビ系)でも組んできた天海祐希さんが出演されています。今回、なぜ天海さんを普通の主婦役にキャスティングしたのですか?

普通は頼まないですよね(笑)。僕も「偽装の夫婦」がなかったら、オファーする勇気がなかったかもしれない。でも、「偽装の夫婦」で、天海さんに沢村一樹さん演じる元カレと偽装結婚する孤独な女性を演じてもらったとき、どうしてもかっこよくなっちゃうんじゃないかと思ったら、その女性の弱さはかなさがすごく出ていたし、色気もあったので「これは主婦役でもいける」と確信しました。10年前、僕が「女王の教室」で異色の教師役をお願いしたように、天海さんはどうしてもスーパーキャラになってしまうので、彼女にとっての未知の分野である、“市井の人”という役どころで魅力を発揮してほしかったんです。

――「恋妻家宮本」のもうひとりの主演、阿部寛さんにも「これまで見たことのない阿部さんを」とオファーされたそうですが、俳優さんにあえてイメージにない役を演じてもらうということにこだわってらっしゃいますね。

よく映画でもドラマでも、「また同じような役をやっているな」と思う俳優さんがいますよね。あれはどうもオファーする側、オファーを受ける側の両方がさぼっている気がする。作り手は「この人にはこういう役が安全だから」、演じる方は「こういう役ならできるから」って…。これまでやったことのない難しい役をやったほうが、お互いに新しいものが発見できるのに。今は、手近に数字(視聴率)がほしい時代だからって、そうやって手近にやっているうちに、ドラマはどんどん衰退していく。そういう危機感があるので、活性化するために僕はあえて突進してやっていますけどね。自分の仕事として考えても、なぁなぁでやっていると、どうしても停滞してしまう。そうではなく、新しい挑戦をすれば新しい自分を発見して、そこからまた頑張れる。人間ってそうじゃないですか。僕は還暦を迎えましたが、年取ってもこの業界にいるので先陣切って新しいことをやるしかない。正直しんどいです(笑)。