――”逃げ恥”の内容を考えると、遊川さんが書いた「偽装の夫婦」も偽装結婚やセクシャル・マイノリティという題材で、共通するところが多いですね。
「偽装の夫婦」と「○○妻」は、僕なりに新しい結婚の形、今の人間関係ということを考えて作った。だけど”逃げ恥”を見ると、こうしたほうが若い人は見てくれたんだと思います。僕はどうしても悪いクセがあって、激しい過去とか激しいエンディングにしてしまうので(笑)。それで、「純と愛」で叩かれ、「○○妻」で叩かれ…。それらの作品は「現実はそんなきれいごとで終わらないんだ」ってことを言いたくて作ったドラマだったけれど、視聴者に嫌だと思われちゃうと伝わりもしないので、うまく最後まで見てもらった上でじっくりと伝わる方法も考えなきゃいけない。きっとドラマの神様がそう言っているんですね。
――作品に対する批判、感想などはチェックされているんですね。
自分がなんと言われているかは分かっていますよ。日々、勉強しているつもりです。だから、自分が問題意識を持つことと見る人を不快な気分にさせることはまた別の問題かなと、考えるようになりました。その意味で、「恋妻家宮本」は僕の新たな始まりでもあるし、原点に立ち戻った作品でもある。もともとは連ドラデビュー作である「オヨビでないやつ!」のようなコメディーをやりたかったんですから。だから、「恋妻家宮本」を見た人が「遊川さんらしくない」って言ってくれるのは、むしろ良いこと。心地悪い裏切り方をすると「また遊川が…」って叩かれるけれど、今回は心地良い裏切り方しかしていないつもりです。やっぱりドラマや映画を作るのは、知らない人を幸せにする仕事なので、そこは大事に考えつつ、でも、自分の中でやりたいことは表現できるように、これからはもっと洗練されたものを作っていこうと思います。
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