「テレ東らしさ」はもはや死語?「若手映像グランプリ」企画者・優勝者の3年目ディレクターに聞く、彼らが目指す新しいテレビ

「Raiken Nippon Hair」より (C)テレビ東京

「テレ東らしさ」はもはや死語?


ふたりはこれからどんな番組を作っていきたいのだろうか。テレビマンへの憧れを持ち、好きなテレビ番組は「SMAP×SMAP」だという千田さんは、「テレビ東京版の24時間テレビ」を作ってみたいと語る。「全社が一体となって作る大きなお祭りをやってみたいです。日本テレビのような横のつながりをテレ東はやって来なかったと思うので、嫌がられると思いますが、無理やりくっつけたらどうなるか、見てみたいですね」
一方、大森さんの好きなテレビ番組は「バミリオン・プレジャー・ナイト」。2000年に放送されていた深夜のシュールなコント番組だ。やってみたい番組は「テレビで放送するからこそ面白い番組」だという。「たとえば以前通らなかった企画だと、一般的な形通りの通販番組で、でも商品が全部一億円以上するという番組を考えました。真珠のネックレスを売るような感じで島なんかを売って、番組内の番号に電話したらちゃんと買える」

いかにも独自性の強い番組が多い印象のテレビ東京。最後にふたりの思う『テレ東らしさ』とは何かを尋ねてみた。
「予選の1位が同率で『Raiken Nippon Hair』と『THE RAMPAGEにオトされたい!』(THE RAMPAGEの 3 人が、1人で食卓につくあなたと「一緒にご飯を食べる」妄想シチュエーションバラエティ)だったときに、改めて面白い局だと思いました。笑わせようが、カッコつけようが、感動させようが、最後は全部『製作著作:テレビ東京』に収束する。あと、テレ東って『テレビ番外地』『振り返ればテレビ東京』なんて言われてきて、失うものがない。うまくいかなかったとしても、いい意味で『テレ東のせい』にできるところ」(千田さん)
一方、大森さんは、「僕みたいな若輩者がこんなことを言うのは大変恐れ多いんですが…『テレ東らしさ』という言葉はよく聞きますが、正直なんだかわからないんです。もう死語じゃないかと思います。一時期は『Youは何しに日本へ?』や『家、ついて行ってイイですか?』など、一般の方が出演する番組のパイオニアというイメージがあったかもしれないけど、今はもう他の局もやり始めた。それ以降は新たな『らしさ』を生み出せていない気がします。だから個性豊かというイメージがなくなるのも時間の問題かもしれませんし、新たな『テレ東らしさ』を作っていかないと」
それぞれに強い個性と明確なビジョンを持っている若手ディレクターたち。テレビ東京の未来は明るそうだ。