――さまざまなアプローチの曲が詰まった新作ですが、今のLucky Kilimanjaroを象徴するような曲を選ぶとするならば?
「ムード的には『人生踊れば丸儲け』ですね。今回の新作はいろいろなインプットやバックグラウンドがあって成り立っているんですけど、聴いてもらうときにはもっとシンプルに感じて欲しいんです。『スカっと踊れたな』とか『楽しかったな』みたいに。メンバーもそういう空気でアイデアを作っているので、『人生踊れば丸儲け』のような痛快というか、スコーンといく感じがわりと今のバンドの空気じゃないかなと思っています」
――カラッとした空気感がありますけど、ものすごく乾いてる感じでもないですし、絶妙なラインだなと思いました。
「僕の人柄もそうだと思いますが、日本的な湿度のような感覚も相まって、カラッとしきれないところがどうしてもあるんです(笑)。でも、今はそれがちょうどいいポジションといいますか。ここら辺のカラッとする仕方が、僕らが面白いし、カッコいいと思っているところを割と表現していると思います」
――グッとBPMを落として吐き捨てるように言葉を紡ぐ「無理」も、他の曲と比べればウェットなニュアンスもありますけど、そこまで踏み込んだ感じはしないですね。
「前回のアルバム(『DAILY BOP』)では割とウェットな成分を自分の中では入れていたんですけど、今回はそういう悲しみや虚しさみたいな部分よりも、そういった中での強さをすごく大事にして、パワーがちゃんと残るように作りました」
――また、この新作に限らず、Lucky Kilimanjaroの曲は歌詞の言葉が強いですよね。ダンスって、もっと心地良さやピンポイントでパワーワードを使うイメージもあるんですけど、ロックのように詩的だったり、ヒップホップのようにそれぞれの日常に溶け込むリアリティもあって。
「僕はダンスミュージックも好きですけど、歌の力も好きなんです。かつ、ヒップホップやストリートの自分のスタイルを強く持とうという発想もすごく好き。だから、僕の場合はそれを戦略的に合わせたというより、どっちかに絞れなかったから両方やってみた、という側面が強いかもしれません」
――それはいろんなルーツミュージックをリファレンスするのと同様に。
「そうです。あれもやりたいし、これもやりたいんだよな、となった結果、今のスタイルになっていて。そういうわがままを形にしようと試行錯誤した結果、こういった作品になったのかなと思っています」
――そういった意味では、熊木さんご自身が踊り続けた結果、生まれた音楽なんですね。
「自分の中では、Lucky Kilimanjaroってそんなにスタイルを定めてなくて。ただ自分がむちゃくちゃ好きなことをやってるだけなんです。なので、歌詞の感じや言葉の選び方とかもダンスミュージック然としていないかもしれないけど、それが面白いと思ったし、それを混ぜてみたらいいと思ったからやる、みたいな」
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