つるの剛士、芸能生活の転機は“ダイナ”と“ヘキサゴン”「どちらもあったから今があると思っています」<インタビュー>

ウルトラマンダイナ

情報量が多くて追いつかない感じ(笑)


――「ダイナ」に決定してからはいろんなものが一転したと思いますが。

「来週からキミ、ウルトラマンね」って言われた時はビックリしました。それから「キミのウルトラマンはこれ」「キミが乗る車はこれ」「キミの基地はこれ」って、どんどんデザインを見せられて、情報量が多くて追いつかない感じでしたね(笑)。

母親にもすぐ連絡しました。「オレ、ウルトラマンになっちゃった!」って言ったら、「あんた、顔が見えないじゃないの!」って言ってきたので、「違う違う! 変身する前だから」って(笑)。後々、親も事の重大さに気付くようになって、「主役だったの!?」って驚いてました。

――つるのさん自身も驚いたぐらいですから、状況を把握するまでに時間が掛かりますよね。

ですよね(笑)。僕自身、そんなに大それたことだとは思ってなかったところがあって、その後、制作発表があったんですけど、どんなものか分からないから普通にTシャツ短パンスニーカーで行ったんです。そうしたら会場がホテルの大広間みたいな所で、他の隊員がみんな正装してるんです。ふっくん(布川敏和)もビシッと決まってて、「誰か教えてよ〜」って感じでした(笑)。カメラマンの方や記者の方がズラーッと並んでて、その時の写真残ってますよ。教えてくれなかった事務所が悪いんです(笑)。

――思い返して大変だったことは?

僕、スポーツが苦手なんですよ。どちらかというと文化系で、ずっとラッパ吹いてたんです。そもそもウルトラマンだからアクションとかもあるでしょうし、運動神経が必要なんだと思いますけど、走る姿からしてカッコ悪くて何度もNGが出てました。「ハイハイ!カットカット! 全然違う。もっとカッコ良く走ってよ」って(笑)。それで、「ダイナ」の次の「ガイア」からはオーディションの項目に“スポーツ”が増えてました(笑)。だからガイア主演の(吉岡)毅志はスポーツ万能です。

――アスカ自体、高校時代は野球部という設定でしたよね。

そう。メジャーリーガーを目指しているという役なんですよね。でも僕は野球も全然知らなくて、“パ・リーグ”のことを“ぺ・リーグ”って間違えて覚えていたくらいなんです。映画の時はプロ野球選手の方に特訓してもらって、アクションもウルトラマンレオのスーツアクター・二家本(辰巳)さんに指導していただきました。

――撮影を通して走り方など改善されて、つるのさん自身も変身された感じですね。

多少マシになったかもしれないです(笑)。あと“高所恐怖症”男なんです。大阪城のお堀の端っこで変身するシーンがあったんですけど、怖くてそこまで行けなくて。「つるちゃん、そこだと見えないからもっと前へ」って監督さんに言われるんだけど、「これ以上は怖くて無理です!」って(笑)。それで最終的にはADさんにロープを付けてもらって走ったんですけど、へっぴり腰のまんまでした。映像ではうまく誤魔化してくれてたと思いますけど。

――つるのさんが思う“ヒーロー”とは? かっこいいと思うヒーロー像を教えてください。

捨てるものがない人。怖いものなしの人に憧れます。僕も独身だったらいろいろやれることがあるのかもしれないんですけど、今は家族がいますし背負うものがたくさんあるので、怖いもの知らずってわけにはいかないんですよね。

あとは、やっぱり“アスカ・シン”が好きです。アスカってそれまでの“ヒーロー像”をいい意味で壊したと思うんです。「ティガ」もそうですけど、雲の上の存在で手が届かないかっこいいヒーローじゃないですか。でも、アスカは、「ひょっとしたら自分もなれるかも」って思わせてくれる新しいタイプだったかなって。だから、子どもたちにめちゃくちゃ人気ありましたし、僕と同じ髪形をしてる子もたくさんいたんだと思います。

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