振付師として過去に300組以上のアイドルを手掛けてきた竹中夏海さん。彼女はアイドルたちを最も近くで見守る者の一人として、ハードなライブ活動をこなしながらも心や身体のケアが見落とされがちな「アイドルの健康問題」について発信し続けている。
そしてこの春、ライブ配信プラットフォーム・SHOWROOMと竹中さんがタッグを組み、「SHOWROOMアイドル専用ジムプロジェクト」が立ち上がった。ジムではアイドルに不足しがちな基礎トレーニングや、ウォーミングアップ・クールダウンといったケアの部分、ボイストレーニングやシェイプアップ、さらに将来的にはカウンセリングなど、心と身体の健康に特化した質の高いトレーニングを提供するという。このプロジェクトを通じて実現したいアイドルの未来について、竹中さんとSHOWROOM執行役員・円谷洋平さんに話を聞いた。
アイドルに特化したスポーツジムは国内では初めて、海外でもほぼ例がないビジネスだ。そもそも本プロジェクトはどのように始まったのか。
「『アイドル保健体育』という本を書く中で、問題提起して終わりじゃダメだな、具体的にアクションを起こさないと、と思うようになったんです。取材で臨床心理士の方や、婦人科の先生、スポーツトレーナーの方など、様々な健康の専門家にお話を伺うと、皆さん共通しておっしゃるのが、アイドル本人たちを専門家の診察につなげる人がいないという問題。身体や心の不調に対して『ちょっと病院行ってみたら』『カウンセリング受けてみたら』と言ってあげられる仕組み、アイドルたちがもっと自分の健康についてアンテナを張れるような仕組みづくりができたらいいですよね、という話をして、じゃあそのために何ができるかを考えたときに、自分の経歴だとスポーツジムだと思いました。それで今回ボイストレーナーとしてジムに参加してくれる遠藤舞さん(元アイドリング!!!メンバー)と、こんなジムを作りたいね、という話をTwitter上でやり取りしていたら、円谷さんが『それ、うち(SHOWROOM)でできますよ!』とご連絡くださったんです。2021年の秋頃ですね」(竹中さん)
竹中さんと円谷さんが出会ったのは10年以上前。当時は某アイドルグループの振付師と、ファンクラブ運営会社スタッフという関係だった。そこから円谷さんがアイドルをプロデュースした際には竹中さんに振付を依頼するなど、長年交流が続いていたという。しかし、配信プラットフォームであるSHOWROOMはなぜこのプロジェクトに手を挙げたのか。
「SHOWROOMとしても、2020年に『SHOWROOMライバーズカレッジ』というプログラムをテストで立ち上げていたんです。それはタレントを目指してSHOWROOMで配信されているライバーの方々向けに、ボイトレやダンスレッスンなど、事務所に所属していないと受けるのが難しいレッスンをSHOWROOMが提供するという試みでしたが、今回のお話を聞いて、そのアイドル版としてもう一度やってみたいと思いました。SHOWROOMはAKB48さんや坂道系のグループさんなど、色々なアイドルの方にご利用いただいていて事務所さんともお取引があるので、親和性も高いです。それに我々はライブ配信プラットフォームですが、芸能に寄り添いたいという気持ちがあります。コロナ禍でもオンライン芸能活動をサポートしてきた『夢を支えるプラットフォーム』というコンセプトとも合っているので、何が何でも協力したい!と思いましたね」(円谷さん)
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)