ジョイマン高木「再ブレイクは怖い」一発屋経験からの視点、今後の目標は“同じネタをやり続ける”

2022/04/09 08:30 配信

バラエティー インタビュー 独占

“一発屋”は「最初は受け入れなかった」、他の一発屋芸人の存在で「前向きに」

いつもと違う表情…真剣な顔で見つめるジョイマン高木 ※「ここにいるよ ジョイマン・高木のツイート日記 2010-2020」より


――巷で「一発屋」と呼ばれたことについては、どんな気持ちだったのでしょうか。

最初はやっぱり、受け入れられなかったですね。もちろん、テレビに出ている時は自分が一発屋になるなんて思ってもみなかったですし。「世間から一発屋だと思われてる」と理解した時は、現実との折り合いがつかず、悩んだりもしました。でも、ムーディー勝山さん主宰の「一発屋オールスターズ」に参加してお仕事をさせていただく中で考え方が変わりました。みんな同じ道を辿ってきていて、同じ悩みや傷を抱えているから話が合うんです(笑)。それによって気持ちがすごく前向きになり、「一発屋だ」と胸を張って言えるようになりました。

――売れなくなったことでラップネタをやめて、まったく違う方向性のネタをやろうとは思いませんでしたか。

実は当時、ラップのないコントとか、新ネタもかなりやっていたんです。でもやっぱり、ラップネタは超えられなくて、いい意味でラップネタが一番面白いと気づけたんですよね。試行錯誤したことによって、「プレーンなジョイマンでやれることがあるんじゃないか。まだ燃え尽きてない」と思えたんですよね。

“サイン会0人事件”が再ブレイクのきっかけに「仕事が明らかに増えた」


――2014年には大きな話題を呼んだ「サイン会0人事件」が発生します。改めて当時の話を聞かせてください。

あの日は、ショッピングビルの屋上でこれからネタを披露する前に、フロアの一角でサイン会をすることになっていました。僕らも、「ジョイマンがサイン会をやって人が集まるものなのか?」と心配してたんです。でも事前に「50枚ある整理券が全部はけた」と知らされていたので、じゃあ大丈夫かと安心して、長テーブルにパイプ椅子2つでずっと待っていたんですけど、1時間経っても、整理券を持った人が一人も現れなくて(笑)。
しかも、時々通りかかる人から「あ、ジョイマンだ。サイン会やってるの?じゃあ、もらおうかな」というふうに飛び込みで言われても、スタッフの人が「いや、整理券がないとダメなので」と制止しちゃうんです。「いや、誰も来ないんだからしたらいいじゃないか」と思ったんですけど、整理券を持った人が来た時のために断らなきゃいけなくて。だから結局、誰にもサインをせずに握手会が終了したんです(笑)。

――あの出来事をなぜTwitterにアップしようと思ったんですか。

「こんなことがあるんだ」と衝撃的だったので(笑)。場所もフロアのほんのちょっとしたスペースで、哀愁漂う面白い場所でもありましたし。せっかくだから思い出に…と写真を撮ってもらって、「町田モディ7階にてサイン会やってます。」ってつぶやきました。

――すごい反響でしたよね。

これまでの投稿で一番反応がありました。それまでジョイマンという存在は、本当に忘れられていたんです。こういうサイン会などを行っていたことも、世間の人はもちろん、吉本社内にさえ伝わっていなかったと思うんですよ。それが「あ、今こういう状況なのね」と理解してもらえて、可哀想だから仕事を振ろうという流れができました。ジョイマンを思い出してもらうきっかけになったことは確かですね。この投稿以降、仕事が明らかに増えましたし。

――「サイン会0人事件」が再ブレイクの足掛かりになったという側面もあるのでしょうか。

完全に「サイン会0人事件」がきっかけだと思います。社内と一般の両方が「いじっていいんだ」となりましたからね。やはり一発屋に対しては、「可哀想だから」という理由でいじりづらい人もいるわけですよ。でも、「笑いになるんだったらいいか」ということでみんなにいじってもらえるようになりました。