――ドラマが始まる前に二宮さんとどのようなお話をされたのでしょうか?
これは多部さんもなのですが、ドラマ全部を通しての計算をしっかりとされていらっしゃるんです。衣装合わせの際に、二宮さんから「1話では温人の状態をここまで作りたい、そこから最終話に向けて温人が変化していく部分を表現したい」との話があって。なので、1話の温人は最終話から逆算して生まれています。
――ちなみに、温人が社長を務めるゲーム会社「ハルカナ・オンライン・ゲームズ」が手掛けるゲームアプリの画面が1話の各所に登場しており、かわいらしいカエルのキャラクターが印象的です。どういった狙いがあるのでしょうか?
まずは、印象に残りやすいキャラクターにすることを意識しました。ゲーム名は「リビット・ウォーカー」というのですが、“リビット”はカエルの鳴き声という意味なんです。そういった要素を踏まえて、助監督さんや美術さんが知恵を出し合って、色んなデザインの中から選びました。
緊迫したドラマなので、視聴者の方は休まるところがあまりないんです。でも、鳴沢家以外のドラマの中の世界はいつも通りの日常として動いていて。そもそも、鳴沢夫婦や警察以外は誘拐事件が起きていることすら知らない状態からスタートします。
あくまで誘拐事件も日常の中で起こっている出来事であることを表現する上で、カエルのキャラクターが“日常感”を出す効果があると思っていて。そうすると、ゲームの中でカエルが頑張る姿と、温人たちが頑張っている姿を重ねて、どこか応援したくなるというか、少しエンタメ感が出ることを狙っています。
そして、このキャラクターが今後ドラマの中で重要な要素を握っておりますので、みんなで力を入れて作りました。
――現場で二宮さんの演技をご覧になって、どういった部分が魅力的だと感じましたか?
魅力ばっかりなんですよね…。1つ挙げるとすれば、自分だけで突き詰めないところです。二宮さんが「他のキャラクターあっての自分ということを大事にしている」とおっしゃっていたことがあって。
柔軟性という簡単な言葉では表現できないんですが、それってつまり役として存在しているということだと思うんです。だけど、憑依型という表現でもない気がしていて…。ただ、“そこに温人がいる“と感じてしまうんです。そういった部分がすごく魅力的だなと感じます。
――では、多部さんの魅力はどういった部分でしょうか?
多部さんは、声に表情がある女優さんだなと感じています。多分、僕映像を見なくても、声だけで多部さんがどんな表情をしているか分かると思うんです。表情ももちろんですが、すごく繊細な声の使い方をしていらっしゃるので、いつもすてきだなと思っています。
――今後、二宮さんと多部さんに期待していることがあればお聞かせください。
誘拐事件を通じて、鳴沢夫婦の関係性はさらに難しくなっていくんです。そういった場面での心の距離感を二人がどうやって演じてくれるのか、すごく楽しみです。
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