――阿部さんが演じるヤスは、ある事故で妻(麻生久美子)を失って以降、人情深い町の人々の手を借りながら、息子のアキラを育てているシングルファーザー。アキラへの愛は人一倍ですが、それを素直に表現できない不器用者でもありますよね。
阿部:ヤスのような昭和のガンコおやじは、昔はそこら中にいました。僕は子供ながらに「温かい人なんだろうな」と思っていたけれど、そういう人は不器用だからこそ、気持ちが空回りしてしまうのか、町の人とケンカしている姿をよく見掛けました(笑)。
でも、そのおじさんは僕ら子供に対しても、喜ぶことを一生懸命に考えてくれて。的外れなこともありましたが、それが逆にいとおしく見えてくるんですよね。反面教師じゃないですけど、子供はそういうところから社会を学んで強くなっていくもの。ヤスにもそんな不器用さからくるいとおしさを感じました。
北村:僕の父親はヤスとはタイプは違うのですが、ガンコですし、僕以上に不器用だと思います。僕が小さい頃に、父が青アザを作って帰ってきたことがあって。寝ているふりをして両親の話を聞いていたら、どうやら親友と大ゲンカになって絶交して帰ってきたらしいんです(笑)。家では静かなので、当時はとても驚いた記憶があるのですが、父にもいろいろあるんだなと思いました。
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