栄治が麗子に残した暗号は「し」「の」「だ」「を」「た」「の」「ん」「だ」で、麗子は事件解決後に、栄治の遺言で引き継いだ弁護士事務所で篠田を働かせることにした。この暗号が、麗子にとっての“遺言状”でもあったわけだ。
一貫して利益を追求する麗子の姿は、いっそのこと痛快だ。クライアントのためなら、どんなあくどい手を使っても“勝ち”にこだわる。そんな彼女と、物腰柔らかな篠田のやりとりは面白かった。
ミステリー小説好きな篠田は、ミステリーのセオリーを繰り出すという役割を持っているようだ。今回であれば、真犯人を明かすときは関係者を一堂に集めるというように。今後、2人がバディのように事件を解決するならば、個性的な主人公による法の知識を備えた活躍に、古典的なミステリーの謎解きが加わっていくのは魅力的である。
古典的といえば第1話、第2話の中には、“ミステリーの女王”と呼ばれるアガサ・クリスティの小説「ねじれた家」が小道具で登場した。莫大な遺産を巡る一族の物語で、今回の展開のオマージュだったとすると、第2話ラストで麗子が引き継いだ弁護士事務所の1階にある古書店の店主が読んでいたのは、同じくアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」だったのだが、次回の物語を暗示しているのだろうか。ミステリー好きの心をくすぐる演出だ。
次回、第3話は4月25日(月)に放送。麗子のもとに“武田信玄”を名乗る男から弁護依頼の電話が入り、殺人事件があった現場へ向かう。そこには、弁護士が来るまで何も話さないと言い張っていた、黒丑益也(望月歩)という青年がいた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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