ミステリーの視点を担う、大泉洋“篠田”の存在感が魅力の一つに<元彼の遺言状>

2022/04/26 12:19 配信

ドラマ レビュー

「元彼の遺言状」第3話より (C)フジテレビ

ファン驚きの鼻歌を披露した大泉洋“篠田”の今後に期待


篠田は、アガサ・クリスティのミステリー小説「そして誰もいなくなった」を引き合いに出したことに始まり、町の名前、庭のツツジの色の違いと、推理を進めていった。

その推理が完璧過ぎないところも魅力だ。それによって、麗子が粛々と進める仕事ぶりが重なった時、事件が解決へと動く。

作中で「名コンビって感じでした」と黒丑は評したが、2人のバディはまだ始まったばかり。強気な麗子と優しい篠田の掛け合いの面白さもこれからまだ伸びていくだろう。今回、第1、2話の物語で登場した、栄治の従姉妹・紗英(関水渚)が麗子の事務所に現れ、一度見たものを忘れない能力が事件解決のヒントにもなった。紗英は麗子に劣らぬ負けん気の強さで、これからもたびたび登場するならば、麗子と紗英に翻弄(ほんろう)される篠田という図も楽しめそうだ。

篠田を演じる大泉は、シリアスもコミカルも自在な演技力で人気を博している。本作では、物腰柔らかで、優しい役どころだが、単にミステリー作家志望というだけなのか謎を含ませているようなところも感じられる。

第3話では、大泉が作詞・作曲した「星空にコマンタレブー」を鼻歌で披露する場面もあった。同曲は、大泉の出身地である北海道のテレビ局、北海道テレビ(HTB)の番組で作られたもので、ほんの一瞬のことに、ファンからは驚きと喜びの声が上がった。そういった小ネタも期待できる大泉の存在感が光る。

次回、第4話は5月2日(月)に放送。篠田が敬愛する女性ミステリー作家・秦野廉(宮田早苗)が最新作の記者発表会見を行うことに。そこで、いきなり「私は、人を殺しました」と告白したことで状況が一変する。

◆文=ザテレビジョンドラマ部