「見たこともないもの」を見せるのは、企画だけではなく演者の腕も欠かせない。#3(4月25日放送)のマジック番組「キングオブイリュージョン」では、収録直前に「予定したマジックがほぼ全てコンプライアンスに引っかかる」ことが判明する。水中脱出も人体切断もダメ。スタッフはMCのバカリズムに、「マジシャンがなんとかするらしいのでフォローしてほしい」と頼む。
収録が始まり、マジシャンが最初に手にしたのはトランプ。ゲストに1枚引かせ、カード(ハートの9)を覚えてもらい、またトランプの山に戻してシャッフル。引いたカードを当てるマジック……のはずなのだけど、いつまで経ってもシャッフルが終わらない。
何枚かめくっては戻し、誕生日を聞くだけ聞き、「まだまだシャッフルが続く!」とCMをまたぎ、用意していた水中脱出用の水槽に入ってまでシャッフルが続く。レモンを取り出して思わせぶりに切ってみるも……何も入っていない。
次第にざわざわするゲストを前に、冷静にフォローを続けるバカリズムがおかしい。「こんなに混ぜちゃうんですね」「これはまさか……!」「(カードを当てそうで当てなかった場面に)一瞬ヒヤッとしました」「(切ったレモンに)見事な断面です」「一体なにが起こっているのか我々には想像もつきません!」
バカリズムとマジシャンと二人三脚で、「思わせぶり」を最後まで持っていく。マジシャン役は本物のイリュージョニストのHARA。こんなインチキっぽいことしてキャリアに傷がつかないだろうか……と、心配になるが、よく見るとカードを何枚も適当にめくっているようで選んだ「ハートの9」は一度も出していない。途中で「ハートの9」が見えてしまうと、「あのカードはいつ出てくるのか」という緊張感が失われてしまうからだろう。それはそれですごい技術で、こだわりがちゃんとあることに驚く。
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