【テレビの開拓者たち / 玉井貴代志】ベテラン放送作家が教える「テレビマンに必要な資質」

2017/05/04 06:00 配信

芸能一般 インタビュー

歌やコントなどエンターテインメントショーの魅力が詰まった「カックラキン大放送!!」('75~'86年日本テレビ系)から、プロ野球にバラエティー的な楽しみ方を盛り込んだ「プロ野球珍プレー・好プレー大賞」('83年ほかフジ系)、とんねるずの人気を決定付けた「とんねるずのみなさんのおかげです」('88~'97年フジ系)といったバラエティー番組、さらに「紅白歌のベストテン」('69~'81年日本テレビ系)、「あなたの歌謡リクエスト」('14~'17年BSフジ)などの音楽番組まで、数多くの番組を手掛けてきた放送作家の玉井貴代志。5月6日(土)放送の「昭和歌謡パレード」(BSフジ)では監修を手掛けるなど、現在も現役で活躍し続けている玉井氏に、放送作家として心掛けていることやこだわりなど、テレビ番組作りにかける思いを語ってもらった。

台本って、リズム感とかテンポが一番大切なんだ


たまい・きよし=1944年11月24日生まれ、大阪府出身


──玉井さんが放送作家として初めて手掛けられた番組は?

「最初にコントの台本を書いたのが、『ハッチャキ!!マチャアキ』('71~'73年日本テレビ系)という堺(正章)さんを中心にした番組。当時のコントは、ドリフ(※ザ・ドリフターズ)みたいにギャグの連発でどんどん進んでいくというのが主流でね。起承転結はあっても、とにかくギャグを優先しないといけないから、それをつなげて台本にしていくのが大変だったんだよ。

その後に始まった『カックラキン大放送!!』は、坂上二郎さん、野口五郎さん、研ナオコさんが最初のレギュラーで、そこに途中から、ナオコさんのお兄ちゃんという設定で堺さんに入ってもらって。その後、堺さんと顔が似てない双子という役で(笑)、井上順さんも入ってきて、さらに郷ひろみさん、西城秀樹さんも加わって、“大家族”にしちゃったの。『カックラキン』は、ドリフがやるようなコントにストーリー性を持たせるっていうやり方をしたんだよね。しかも毎回のゲストの人物設定を考えて、キャラクターを立たせないといけなかったから、どんどんネタがなくなってきて、台本作りは本当に大変だった。おかげで番組の人気は高かったんだけどね」

──コントの台本を作る上で大切にされていたことは?

「当時はまだ放送作家だけを専門にしている人は珍しくて、どうやったら放送作家になれるのかもよく分からない時代でね。僕の場合は、東宝の演出家で、放送作家のお仕事もされていた塚田茂先生に弟子入りしたんだけど、とにかく塚田先生の書いた台本をいっぱい読んで勉強したの。そうすると、セリフをダラダラ書くのはダメだとかいうことがだんだん分かってくるわけ。やっぱり台本って、リズム感とかテンポが一番大切なんだと思う」