【テレビの開拓者たち / 玉井貴代志】ベテラン放送作家が教える「テレビマンに必要な資質」

2017/05/04 06:00 配信

芸能一般 インタビュー

テレビを作るには、バカになってくれるヤツが一人いないとダメなんだよ


5月6日(土)放送の「昭和歌謡パレード」(BSフジ)は「昭和の歌謡賞レース」を特集。五木ひろしvs八代亜紀の“五八戦争”の裏側を、本人が語る!?(c)BS FUJI INC. ALL RIGHTS RESERVED.


──音楽番組を作る上で、他に心掛けていたことなどありますか?

「歌番組をやるときに一番好きだったのが、司会が曲を紹介するときのナレーション原稿を書くこと。なぜかというと、ナレーションは絶対に書かれた通りに言ってくれるから(笑)。曲紹介のナレーションって、よく歌い手さんの出身地の話を入れたりするんだけど、そのときに単純に地名を言うだけじゃなくて、例えば東北だったら『雪深い○○』とか、何か形容詞を入れる。作家の文才って、そういうところに出てくるんだよ。で、それが自分の見せ場というか、センスをアピールするチャンスになって、仕事の幅が広がったりする。一番好きだったのは『日本レコード大賞』(TBS系)のナレーションだな。やっぱり、一つひとつ重みがあったからね」

──では、玉井さんが思う、放送作家に必要な資質とは?

「やっぱり“語彙(い)力”だと思う。言葉を知っている人は、どんな状況にも対応できちゃう。結果を出すことができるんだよね。会議で誰かが言ったことをパパッとまとめたり、番組の収録中にその場で台本を書き換えたり、瞬時にしてビビッといい言葉が出てこないとダメだよね。

あとは、場の流れを読むうまさかな。会議とかでも『ここはしゃべっていいのかな』とか、『今は黙っておこう』とかね。何でもかんでもしゃしゃり出てくるようなヤツに、成功者はいないもん(笑)。テレビを作るときって、チームの中に誰か一人、バカになってくれるヤツがいないとダメなんだよ。そういうガス抜きをしてくれる人がいないと、会議でも何でも、しんどくなってくる。バカなこと言うヤツがいて、みんなで『それ違うだろ』ってツッコんだり、『ところで、さっき言ったことだけど』って話がつながって新しいアイディアが生まれたり。そういう空気がないと、次に進んでいかないもん。要は、そのとき、そのときの自分の立場をちゃんとわきまえること。僕はそれを50年やってきてるからね、根性が違いますよ(笑)」