MCの人選は企画会議で候補を上げていったというが、DAIGOを起用した狙いとは何か。
「まず『女性が料理を作らないといけない』という意識自体も古い。MCが女性だと『結局女の人か』と思われてしまいそうだったのと、(前番組MCの)上沼さんはバリバリできる主婦代表みたいな方でしたから、また違う方向性で親しみやすく、視聴者に『これなら自分もできそう』と思わせられる方にお願いしたかった。DAIGOさんはご結婚されるまでほとんど家事をされてこなくて、ご結婚後も掃除などの家事は分担しているけれど、料理はなかなか手を出せずにいる。でもやる気はあるというお話を聞いて、ピッタリだと思いました」
確かにDAIGOの、まだまだ初心者でありながら前向きに料理に取り組む姿勢は、視聴者にも好評を博している。
「まじめで、一度言われたアドバイスを素直に受け入れられる方なので、伸びしろしかないと思っています。材料を切るのなんかも、ゆっくりだけど丁寧。今は見ていて少しもどかしいかもしれないけど、センスを感じます。料理する中での新しい発見を楽しんでくれているので、先生方も教え甲斐があると思いますね」
講師とのやりとりなど、DAIGOの独特なトーク力も光る本番組。収録の裏話も聞いた。
「DAIGOさんって、裏表というか、オンオフがあんまりない方で、ずっとあの番組中の感じです。慌てたり焦ることが少なくて、常にマイペース。本当に人柄のよさが出ているなと思います。また番組のエンディング、洗い物をしながらのDAIGOさんの一言は、ご本人がその回を振り返って決めているんですが、真剣に取り組んでいるからこそ出てくる反省や学びですね」
「DAIGOも台所」では、他の料理番組が通常省きがちな計量や洗い物も番組内に入れるなど、演出にもポリシーを持っている。
「DAIGOさん自身、実際ご自宅で台所に立たれたときにギャップがないよう、また視聴者が共感できるように、計量や洗い物など含め、料理に付随する色々なことを全部見せるようにしています。ぶんぶんチョッパー(みじん切り器)みたいな便利な道具も使えばいいと思うし、それが視聴者の共感につながる」
「料理って、ただ作るだけじゃない。冷蔵庫の在庫管理、買い物、後片付けなど、毎日食べる料理ができるまでにどれだけの見えない工程があるか。以前ネットでバズっていたイラストで、それを海に浮かぶ氷山に例えたものがあった。見えている『調理』の部分はごく一部分だけで、海中に沈んでいる見えない部分がとても大きいという表現が印象に残っていたので、実はセットにもその気持ちを込めて、氷山をデザインして飾っています」
こういった真摯な番組作りが共感を集め、SNSでは感想マンガが多数投稿されるなど大反響。また「DAIGOも台所」は、公式SNSからの発信にも力を入れている。Twitterでは、毎回放送後にその回の見どころを写真付きで投稿。
「番組Twitter運用は、きちんと文章のプロの方に担当として入ってもらっているんです。SNSはコミュニケーションツールなので、言葉のやり取りに長けていて、ご自身の経験を踏まえて視聴者に寄り添える方にお願いしています」
矢野Pが今後「DAIGOも台所」でやっていきたいことは何か。
「ひとつは『娘さんのお弁当作り』というDAIGOさんの目標をかなえたいですが、もちろんそこにたどりついたら終わりというわけではなく、ステップアップしていきたい。たとえば今冷蔵庫に入っている食材だけでレシピを考えるとか、月曜から金曜で食材を使い切れるようにレシピを回すとか…DAIGOさんのレベルに合わせ、試験みたいなことができたら面白いかなと思います」
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