映画「流浪の月」フレッシャーズ試写会が5月8日に都内で行われ、W主演を務める広瀬すずと松坂桃李が登壇した。
本作は、2020年本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた凪良ゆうの小説を、「フラガール」「悪人」などを手掛けた李相日監督が映画化したもの。
10歳の時以来、誘拐事件の“被害者”というレッテルを貼られて生きてきた家内更紗を広瀬が、その事件の“加害者”としてレッテルを貼られて生きてきた当時19歳の青年・佐伯文を松坂が演じている。
新社会人となった52人が来場し、「流浪の月」を公開に先駆けて鑑賞した同イベント。上映後、広瀬と松坂が登壇し、作品についてのトークセッションの他に、新社会人との質疑応答も行われた。
最初の質問は「今まで大変なことがあった時、どう乗り越えてきましたか?」。
広瀬は「我慢せず、自分のやりたいことというか、好きなことに没頭する時間を作ること。あとは周りの人ですね。私は周りの人に恵まれてきたので、誰かと話をすることで救われることが多かったんです。なので、遠慮なく甘えます(笑)。その時に助けてもらったからこそ、私も周りの人のためだったら自分も頑張りたい!って思える精神でいるので、『えい!』ってバカな顔をして全力で甘えちゃいます(笑)」と回答。
「以前は、甘えることができなかった」とも明かし、「二十歳を過ぎてからできるようになったんです。話すことで自分がこんなに楽になるんだっていうことを体験したことがあったので、支えてくれる人には甘えるようにしようって。ちゃんと心の言葉として会話できる関係性がある人には『つらい』って言います」と変わったきっかけも明かした。
松坂は「壁とかを乗り越える時、一回立ち止まる」と回答。「忙しくさせてもらっている時に、『この作品にどう向き合ったらいいんだろう?』と思うことがあったりします。周りを気にし始めると、よく分かってないのに『やらなきゃ!』っていうふうになりがちですけど、勇気を振り絞って一度立ち止まることも一つの方法だと思うんです。立ち止まることで自分のやるべきことが見えてくるので、そこを集中してやることが突破口になって、乗り越えてきた感じがあります」と経験を踏まえて、その理由を説明した。
続いては、「4月から新社会人になり、毎日の仕事に緊張しています。これからも頑張れるように応援メッセージをください」というリクエスト。
広瀬は、「私の中で“頑張りたい”っていう気持ちがあるけどうまくいかない時に、人から『頑張らなくていいよ。頑張らないでね。でも、頑張ってね』って言われたことがありました。その言葉をすごく大切にしていて、人からいただいた言葉ですけど、それを送りたいと思います。自分を見失わないようにすることが大事だと思っていて、松坂さんがさっきおっしゃったように一回立ち止まってみるとか、自分がホッとできる時間を大切にして、頑張り過ぎず、『行くぞ!』っていう時だけグッと力を入れて頑張っていただけたらと思います」とアドバイスした。
松坂は「いい言葉ですね!」と言って、「『頑張るって何?』って思ったりするし、自分と相手の頑張るの基準が違ったりするから、そこに温度差や距離が生まれて、『無理しなきゃいけないのかな』って思ったりするんですよね。でも、すずちゃんが言ってくれたように、“頑張らないこと”を頑張ってみる。これが一番肩の力が抜けると思います。まだまだ吸収しなきゃいけないことがいっぱいある時期だからこそ、“頑張らないこと”を自分なりに頑張ってみるのが、いい仕事の歩みの一歩になるかも」と笑顔で補足した。